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内分泌内科

外来診療担当表

外来の診療担当表については、下記をクリックしてご覧ください(毎月更新)。

外来診療担当表

※外来診療休診のお知らせはこちらから

内分泌内科の特色

内分泌代謝疾患について

内分泌内科では、何らかの原因で内分泌ホルモンのバランスが崩れ、様々な症状を引き起こす内分泌代謝疾患の診療に携わっています。

私たちの体の中では、いろいろな作用を持つ物質が全身の臓器に作用し、生体の恒常性を保つためにうまく連携して働いています。全身の臓器が連携して正常な働きをするための仕組みが内分泌代謝です。内分泌代謝作用を示す物質をホルモン、ホルモンを産生・分泌する臓器を内分泌臓器と呼びます。内分泌臓器は脳下垂体、甲状腺、副甲状腺、膵臓、副腎、卵巣、精巣など全身に存在します。

内分泌代謝疾患とは、内分泌臓器の炎症や腫瘍などが原因で、ホルモン作用が過剰・不足したことにより、様々な症状が起こる病気です。全身の代謝を調節するホルモン、分泌する臓器から離れた臓器で作用するホルモン、ホルモン分泌を調節しているホルモンなどいろいろな働きがあり、原因の内分泌臓器とは別の場所で症状が出ることがあります。内分泌代謝疾患には患者数の多い甲状腺疾患から、脳下垂体、副腎等の比較的稀な疾患まで体の広い範囲の臓器の疾患が含まれます。内分泌内科では頻度の高い甲状腺疾患を中心に、脳下垂体、副甲状腺、副腎、膵臓、骨代謝、電解質異常などの診療を行っています。

画像:ホルモンをつくる内分泌臓器

治療について

内分泌代謝疾患の治療は、ホルモン作用の過剰・不足により生じる様々な症状を改善し、困らずに生活できるようになることが目的です。

第一は薬物治療で、過剰に分泌されたホルモンを抑える薬を使用したり、不足したホルモンを直接補充したり、補充できる合成ホルモンがない場合はホルモンが担っている役割と似た役割の薬を使用します。

しかし、ホルモン異常の原因が腫瘍の場合は、薬物治療よりも外科的に摘出することが望ましい場合もあります。また薬物治療が何らかの理由で続けられなかったり、効果不十分の場合は、手術が必要なこともあり、各専門外科と連携し外科的治療を行います。

当院では内分泌代謝疾患の治療選択肢のひとつとして外科的治療をスムースに受けていただくため、2022年に外科・脳神経外科・泌尿器科と連携した内分泌センターを開設しました。

内分泌センター

画像:甲状腺エコーの様子

甲状腺エコーの様子

診療内容

内分泌内科では、さまざまな内分泌代謝疾患の診断・治療を行っています。頻度の高い甲状腺疾患を中心に、脳下垂体、副甲状腺、副腎、膵臓、骨代謝、電解質異常などの診療を行い、症状や病態に応じて必要な内分泌機能検査(ホルモン検査、負荷試験など)や画像検査(エコー、CT、MRI、シンチグラフィなど)を行い、診断後に薬物療法、手術療法などの治療を行います。

甲状腺超音波検査を年間700例以上行っています(2025年5月現在)。また、甲状腺結節の診断のために、外来での超音波ガイド下穿刺吸引細胞診(100例以上)も行っております(2025年5月現在)。

他にも、各ホルモンの過剰・不足を診断するための負荷試験を、外来や必要であれば入院にて行っています。

内分泌内科で診療する代表的疾患

≫ 甲状腺疾患
  • バセドウ病(甲状腺機能亢進症)
  • 慢性甲状腺炎(橋本病)
  • 亜急性甲状腺炎
  • 無痛性甲状腺炎
  • 腺腫様甲状腺腫
  • 甲状腺がん
  • プランマー病 等
≫ 脳下垂体疾患
  • プロラクチノーマ
  • 先端巨大症
  • クッシング病
  • リンパ球性下垂体炎
  • 中枢性尿崩症
  • ACTH単独欠損症
  • 成人成長ホルモン分泌不全症
  • 下垂体偶発腫瘍 等
その他の疾患
  • 若年性高血圧
  • 難治性高血圧
  • 骨粗鬆症
  • 骨軟化症
  • インスリノーマ
  • 電解質異常 等

主な内分泌疾患

 

こんな症状があったら、是非、内分泌内科へ

  • 頸が腫れたり、痛くなった。
  • 脈が速く、動悸がする。手も震える。
  • 眼が以前より飛び出て、物が二重に見える。
  • 最近眠気がとれず、しんどい。声がかすれてきて、足もむくむ。
  • まだ40歳台なのに血圧が高くなった。
  • 急に糖尿病が悪くなり、太った。
  • 急に力が抜けることがある。
  • 視界が狭くなり、両耳側の物が分かりにくくなった。頭痛もある。
  • 急に生理がなくなり、おっぱいが出るようになった。
  • 靴のサイズが合わなくなり、指輪も入らなくなった。
  • 甲状腺疾患を持たれた方が妊娠を希望している。
    ⇒甲状腺疾患を持たれた方の妊娠については、下記「甲状腺疾患と妊娠」をご確認ください。

 

甲状腺疾患と妊娠

甲状腺ホルモンは体の代謝を上げる働きがあり、このホルモンの増減により様々な症状を引き起こします。

代表的な甲状腺疾患には、甲状腺ホルモンが上昇するバセドウ病、逆に低下する橋本病があり、適切に診断と治療を受けることにより、普通の方と同様の日常生活を送ることができます。

近年、妊娠と甲状腺疾患の関連について多くのことがわかってきています。

画像:妊婦さん

妊娠中

日本ではバセドウ病の方は、ほとんどの患者さんが甲状腺ホルモンの合成を抑える抗甲状腺薬を内服する治療を選択されます。

以前から、抗甲状腺薬の一つであるチアマゾール(商品名:メルカゾール)について、妊娠中の内服で胎児の奇形が増加する報告がありました。これに関連した日本甲状腺学会の前向き研究において、生命予後には関与しない希な児の奇形(後鼻孔閉鎖症、食道閉鎖症、気管食道瘻、頭皮欠損、臍腸管異常等、いずれも手術可能)が増加しているとの報告があり、妊娠5週から10週まではチアマゾール内服を避ける方針となっています。妊娠5週から15週まではチアマゾールを避けヨウ化カリウム、プロピルチオウラシルで治療し16週以降は必要であれば再びチアマゾールで治療することが推奨されています。

チアマゾール内服中に妊娠しても生命にかかわらない稀な奇形のリスクが上昇するのみであり、中絶する必要はありませんが、情報を理解する必要があります。

産後

産後にバセドウ病は悪化することが多いですが、授乳中は1日10mg以下のチアマゾール、1日300mg以下のプロピルチオウラシルであれば、完全母乳であっても児の甲状腺機能に影響はないといわれています。

またヨウ化カリウムは濃縮され乳汁から分泌されるので授乳中は基本的には使用できません。

母体のバセドウ病の病勢に応じて児の甲状腺機能に影響が出ないよう治療調節を行います。

甲状腺ホルモン補充療法について

さらに、母体の甲状腺機能低下が早期流産、早期産児の知能や精神運動に対する悪影響を呈するという報告もありましたが、近年、条件により影響がある場合とない場合があるということがわかってきており、それぞれの状況に応じて甲状腺ホルモン補充療法を行っています。

また、すでに甲状腺ホルモン補充中の方では、妊娠すると甲状腺ホルモン必要量が増えるので、補充量の増量が必要な場合があります。産科の挙児希望外来でも甲状腺機能を測定する機会が増えており、症状のない潜在的な甲状腺機能低下の女性でも甲状腺ホルモン補充療法の適応がある場合もあります。それぞれの条件や状況、希望に応じて甲状腺ホルモン補充を行います。

これから妊娠を考えられている女性の方で、ご家族に甲状腺疾患のおられる方、甲状腺の腫大を指摘された方は、一度は甲状腺ホルモンのチェック(血清TSHとfreeT4)を受けられることをお勧めいたします。

スタッフ紹介

主任部長/内分泌センター長
岸田 雅之 Masayuki Kishida

顔写真:岸田 雅之

出身

平成6年卒
岡山大学医学部卒

専門

内分泌・甲状腺疾患

資格
日本内分泌学会内分泌代謝科(内科)専門医・指導医
日本内科学会認定内科医・総合内科専門医・指導医
日本甲状腺学会専門医
日本プライマリ・ケア学会認定医・指導医
日本病院総合診療医学会認定医・特認指導医
日本専門医機構特認指導医(総合内科プログラム)
NSTコーディネーター
日本内科学会中国地方支部評議員
岡山大学病院総合内科客員教授
岡山大学医学部医学科臨床教授
臨床研修指導医
認定産業医

医長
小松原 基志 Motoshi Komatsubara

komatsubara_motoshi.jpg

出身

平成21年
岡山大学医学部卒

専門

内分泌・甲状腺疾患

資格
日本内分泌学会内分泌代謝科(内科)専門医・指導医
日本内科学会認定内科医・総合内科専門医
岡山大学医学部医学科臨床教授
記事・コラムなど

内分泌センタークロストーク
診療科を越えた連携とは?