センター長 岸田 雅之
当院では2022年8月に中四国の市中病院としては初となる内分泌センターを設立しました。
2019年4月から外科医師が増員され甲状腺疾患についても外科的治療が可能となり、2021年4月には内分泌内科医師が増員され2名体制となり、内分泌領域における診療体制はより充実したものとなりました。
これまでも内分泌内科を中心に、甲状腺・副甲状腺疾患は外科と、間脳下垂体疾患は脳神経外科と、副腎疾患は泌尿器科と連携して診療に当たっていましたが、内分泌センター設立により、診療科の枠を超えてひとつのユニットとして情報を共有し、診断から治療までより迅速・正確に行い安全で専門性の高い医療を提供し地域医療に貢献したいと考えております。
内分泌疾患とは、ホルモンを作る臓器の炎症や腫瘍などでホルモンが不足したり過剰になったりする病気です。ホルモンの多くは血液に乗って全身を巡り、離れた臓器とコミュニケーションをとり連携して体内の恒常性を維持する役割をしています。そのバランスが崩れると原因の内分泌臓器とは別の場所で症状が出ることがあります。
例えば高血圧の原因として甲状腺ホルモンや、副腎皮質ホルモン、副腎髄質ホルモン、成長ホルモンのいずれかが過剰であることがあったり、副甲状腺ホルモンが過剰であるために骨粗鬆症となり骨折したり、腎結石ができて腎障害が進んだりすることもあります。
これらの症状は内分泌ホルモンの異常がなくても起こりうるものが多いですが、それが内分泌ホルモンの異常なのかどうかを診断し、困らず快適に暮らせるように調節したり、生活習慣病の治療と同じように将来に起きるかもしれない悪いことをできるだけ起きにくくすることが内分泌センターの役割です。
内分泌内科にて検査・診断・治療を行うとともに、必要に応じて各専門外科で外科的治療を行います。
院内における診療科間の強い連携
全身の広い範囲の多彩な原因により引き起こされる内分泌疾患は、複数の診療科と連携した診療が必要不可欠です。
当センターでは内分泌内科が総合的な診療を行うとともに、必要に応じて外科・脳神経外科・泌尿器科との調整を行い、スムーズに外科的治療につなげる連携体制が整っています。術後の長期にわたる経過観察も診療科の垣根を越えて協力して行います。
内分泌専門医が3名常勤する充実の診療体制
内分泌疾患はその原因の多彩さから、特定の臓器だけでなく全身を専門的に診察できる知識と経験が求められます。また、比較的まれな疾患もあり、診断に至るまで時間がかかることも少なくありません。当センターでは日本内分泌学会内分泌専門医が3名という充実した体制のもと、診断が難しい事例についても包括的に診療を行っています。
緊急疾患に対応できる救急センター
内分泌が原因の緊急疾患を発症した場合、多くの診療科にまたがった集中管理が必要となることがあります。当院では「24時間365日断らない救急」を目指す救急センターが常時稼働し、内分泌センターと連携することで、初期段階から適切な治療を提供できる環境を整えています。
内分泌ホルモンの異常からくる症状には、他の病気や薬の副作用、生理的なものなどホルモンの病気でなくても出るものも多くあり判断は難しいです。ホルモンの病気かなと思ったら、まずはかかりつけ医でご相談ください。
詳しい検査が必要であれば当院へ紹介していただき、予約を取って受診するという流れになります。
かかりつけ医がない、急いでおり早く総合病院を受診したいなどの場合は、まずは内科初診へ受診をお願いします。
※紹介状がない場合は選定療養費7,700円が別途かかります。
のどのしこり、腫れ | 甲状腺腫瘍、バセドウ病、慢性甲状腺炎 |
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骨折を繰り返す | 原発性副甲状腺機能亢進症、クッシング症候群、骨軟化症 |
若いのに血圧が高い | 原発性アルドステロン症、クッシング症候群、バセドウ病 |
尿路結石を繰り返す | 原発性副甲状腺機能亢進症 |
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指輪や靴のサイズが 合わなくなってきた |
先端巨大症 |
急に尿量が多くなり 夜ぐっすり寝られない |
中枢性尿崩症 |
内分泌疾患を疑う所見はさまざまあり、内分泌疾患以外でも起こりうる症状が多くあります。精査をして内分泌疾患でないと否定することも重要なことだと考えています。少しでも内分泌疾患が疑わしければご紹介いただけると幸いです。
入退院管理支援センターを通して紹介患者さまの診療予約をいただければ、当日スムースに受診することができます。お急ぎの場合は可能な限り対応しますが、当日の待ち時間が長くなる場合があります。