lVRとは、インターべンショナル・ラジオ口ジー(lnterventional Radiology)の略で、画像診断(X 線透視、超音波、CT、MRl など)を施行しながらカテーテルという細い管や針を操作して病気を治す先端的治療です。
心臓疾患、脳血管疾患、肝臓がんを始め多臓器のがん治療、下肢血管疾患に加え、外傷性腹腔内出血の緊急止血術など、より専門性の高い治療が提供できます。また、緊急対応が可能で、患者さんの体の負担も少なく、正確に治療でき、入院期間も短縮できるなど優れた特徴を持っています。
<新規導入の血管造影装置>
救急医療の充実がIVRセンター新設の大きな理由です。近年の『切らずに治す』lVRの発達はめざましく、あらゆる診療科において重要な治療手段の一つとなっています。
IVRを行う上で最も重要な機器は血管造影装置であり、lVRセンターには2台の装置が導入されています。
また、当センターには、循環器内科医、放射線科のIVR専門医、脳神経外科医、肝臓内科医、専属の看護師、診療放射線技士、臨床工学技士などのスタッフが集結し、患者さんに安全で確実なIVR治療を提供できるよう努めています。
脳や心臓の血管が詰まって脳梗塞や心筋梗塞を起こした場合は、時間との勝負になります。例えば脳梗塞治療のタイムリミットは、t-PA静注が発症から4.5時間以内、カテーテル治療による血栓回収が症例によっては24時間以内とされていますが、血流再開が早ければ早いほど転帰は改善しますので、治療は一刻を争います。
患者さんは救急へ運ばれて来ますので、当院のlVRセンターは岡山ERとの連携を前提に設計されました。経験豊富なスタッフが待機し、IVRの装置が24時間365日稼働しているので、より確実で、より早い血管内治療が可能になります。
※岡山ER=24時間365日、症状にかかわらず救急患者を受け入れ、ER型救急医が初期診療を行い、必要に応じ専門診療部門に引き継ぐ、ER型救急システム。岡山大学と共同で構築。
<血管造影装置の使用例>
血栓を溶かしたり回収したり、ステント(金属製のあみ状の筒)で血管を広げたり、破裂予防のためにコイルを入れたり、がんに栄養を与えないように血液の流れを止めるなど、血管内治療には病気や状態によっていろいろな種類があります。
一つ病気が見つかると他の臓器にも病気が発見されることがあり、他科とスムーズに連携して治療を行えるのがIVRセンターのメリットです。