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人工関節センター

人工関節治療実績

(単位:件)

  人工股関節手術 人工膝関節手術
※UKA含む
合計
2018年 112 55 167
2019年 139 70 209
2020年 175 58 233
2021年 178 73 251
2022年 232 159 391
2023年 257 175 432

※UKA・・・単顆型人工膝関節置換術

人工関節について

当院では、主に膝関節と股関節の疾患に対して、人工関節へ置き換える手術を行っています。
この手術は、膝や股関節の痛み、変形や関節リウマチに対して実施することで、痛みの改善が期待できます。

人工関節にはさまざまな素材が使われますが、チタン合金、コバルトクロム合金、超高分子量ポリエチレン、セラミックなどが主となっています。関節構造の軟骨に相当する「サーフェイス」や「ライナー」の多くが超高分子量ポリエチレンでつくられ、その架橋構造を改良することで摩耗量が劇的に減少し、長持ちするようになりました。

インプラント

人工膝関節のインプラント

イラスト:人工股関節インプラント

人工股関節のインプラント

人工関節手術の適応となる疾患

  • 変形性膝関節症
  • 変形性股関節症
  • 大腿骨頭壊死
  • 関節リウマチ

変形性関節症について

変形性膝関節症、股関節症は関節軟骨がすり減って炎症が起き、痛みが生じて歩きにくくなる病気です。

症状が軽ければ鎮痛剤や、周辺の筋肉を鍛える訓練、減量などで対処できますが、痛みが強くなって生活に大きな支障がでるようであれば、人工関節置換術が治療の有力な選択肢となります。

図:変形性膝関節症

図:正常な膝関節と変形性膝関節症との違い

大腿骨頭壊死症について

大腿骨の骨頭部分の血流が悪くなり、骨が壊死してしまう病気です。特発性と症候性に分類され、特発性はアルコールの多飲やステロイド使用が壊死と関連しているといわれています。

症候性は外傷や放射線照射など、壊死を起こした原因が明らかなものをいいます。骨頭壊死が広範囲で骨頭が押しつぶされている場合には、人工股関節置換術が必要になります。

関節リウマチについて

関節リウマチは関節内の滑膜に炎症が起こり、進行すると軟骨・骨が破壊される病気で、免疫が関係しているといわれています。膝関節や股関節も変形することがあり、変形が進行すると人工関節置換術が必要になります。

手術について

人工股関節手術

変形性股関節症や大腿骨頭壊死、関節リウマチに対して人工股関節置換術を行っています。

人工股関節は、基本的に筋腱を温存した最小侵襲手技による前外側アプローチ(Modified Watson-Jones approach(OCM))、または後方アプローチを用いて行っています。OCMアプローチの特徴は、お尻の横の中殿筋を傷めないため術後の痛みが少なく、早期の回復が期待できることです。後方支持組織の温存と関節包の修復により、後方脱臼のリスクが極めて少なくなります。

ただし、重度の変形性関節症や再置換術などに対しては、従来法である部分筋切離を行うことがあります。
さらに、全症例に対してコンピューター支援技術(人工関節手術支援ロボットやナビゲーションシステム)を活用し、人工関節の設置を高い精度で行っており、良好な長期成績が期待できます。

人工股関節手術 術前・術後

人工股関節手術前後のX線画像

人工膝関節手術

変形性膝関節症や関節リウマチに対して人工膝関節全置換術を行っています。全症例に対して手術支援ロボットシステムを活用することで、より精度の高い手術が実現できるようになりました。

また、患者さんの術前の状態や術後に希望されるレベルに合わせて、手術方法の選択を行っており、下肢アライメントが保たれていて、外側の関節軟骨の変性が少ない場合には単顆型人工膝関節置換術(UKA)を適応としています。

図:人工膝関節手術

図:人工膝関節手術の流れ

X線画像:人工膝関節手術(TKA)術前後X線像

人工膝関節手術前後のX線画像

人工関節手術支援ロボットシステム「ROSA Knee(ロザ ニー)・ROSA Hip(ロザ ヒップ)」

画像:RosaKnee

“膝・股関節の痛み”でお困りの方へ新たな治療法を提供

2021年8月より、人工関節手術支援ロボットシステム「ROSA Knee(ロザ ニー)・ROSA Hip(ロザ ヒップ)」を導入しました。

認定資格を得た整形外科医が、より高い精度とより高い水準の人工関節置換術を実施できるように設計された手術支援ロボットです。骨切りや人工関節の設置をロボットが補助することで、術前計画にそった正確で再現性の高い手術が可能であり、合併症の少ない手術が期待されます。

「膝関節や股関節が痛くて動けない」患者さんに、手術をすることで健康的な生活を取り戻すお手伝いと健康寿命の延伸を目指します。

人工関節手術支援ロボットシステムの3つのメリット

メリット1

●正確性の高い手術手技

関節の大きさや形を赤外線装置を駆使して手術中に解析し、執刀医に知らせます。さらに、人間よりも精密に動作する専用のロボットアームが補助して0.5mm、0.5度の精度での手術が可能です。手術手技の精度を飛躍的に高めます。

メリット2

●より適切なインプラント設置

術前計画で3次元モデルが作成され、最適な人工関節の種類とそのサイズが選定されます。手術中に得られるデータと術前計画を、手術支援ロボットが解析して執刀医に知らせます。より適切な人工関節手術が可能となります。

メリット3

●満足度と長期成績の向上へ
─ 個別化治療(オーダーメイド手術) ─

手術前に患者さん1人ひとりに個別に計画を立て、その人の理想の人工関節を高い再現性で実現します。手術後の早期の回復が可能となり、長期成績の向上が期待されます。

画像:人工関節手術支援ロボットシステム「ROSA Knee」

人工関節手術支援ロボットシステム「ROSA Knee」

画像:術中のモニター画像

術中のモニター画像(膝関節)

写真:人工関節手術支援ロボットシステム「ROSA Knee(ロザ ニー)」オペの様子

人工関節手術支援ロボットシステム「ROSA Knee」を使用した手術の様子

保険適用について

「ROSA Knee」を用いた手術の費用は保険適用となり、高額療養制度の対象です。手術の適応については、医師の診断が必要です。

ロボティックアーム「Mako(メイコー)システム」

画像:Makoシステム本体とモニター

ロボティックアームによる正確かつ安全な人工股関節・膝関節全置換手術が可能となります

岡山市立市民病院では、2023年12月に岡山県では初となる、ロボティックアーム「Mako(メイコー)システム」を導入しました。日本人に多い変形が高度の変形関節症の患者さんに対して、術前CTから正確に計画および手術が可能となるシステムです。当院では、これまでにも人工関節手術支援ロボットを2021年8月に岡山県下で初導入。以降、450件の手術実績があります(2024年5月時点)。​​​

変形性股関節症や変形性膝関節症などで悩む患者さんが、手術をすることで健康的な生活を送っていただけるよう、お手伝いと健康寿命の延伸を目指します。

 

Makoシステムの3つのメリット

メリット1

●高度な術前計画

個別の3次元CTデータをもとに、患者さんの骨格の情報をコンピュータに入力し、人工関節(インプラント)のサイズや設置する位置、骨を削る量などの術前計画をたてます。

●正確性の高い手術手技

ロボティックアームは、治療計画から外れた動きをしようとすると自動で止まる仕組みになっています。治療計画にない動きを制御することで、靭帯や血管などの関節周辺の組織を保護し、安全かつ正確な手術が可能になりました。

●低侵襲を実現するイノベーション

ロボティックアームの技術により、関節周辺の靭帯や血管などを保護し、侵襲の少ない手術をサポートすることが可能になりました。従来の術式と比べて精度の高い手術が可能で、複数の学術論文により早期の回復や在院日数の短縮が示されています。

写真:Mako(メイコー)システム 三次元CTデータをもとにした術前計画 画面例

3次元CTデータをもとにした術前計画(膝関節)

写真:Mako(メイコー)システム 人工股関節全置換術用

人工股関節全置換術用

Makoシステム 人工膝関節全置換術実施時

人工膝関節全置換術用

保険適用について

「Makoシステム」を用いた手術の費用は保険適用となり、高額療養制度の対象です。手術の適応については、医師の診断が必要です。

メディア掲載情報

▼岡山の医療健康ガイドMEDICA「ロボティックアーム『Makoシステム』導入」(2024/1/29記事) 「ロボティックアーム
『Makoシステム』導入」