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脳神経外科

一般社団法人National Clinical Database (NCD)の手術・治療情報データベース事業への参加について

脳神経外科の特色

脳の病気は生命の危険に直結するため、治療には高い専門性が要求されます。当科では脳神経外科常勤医師8名、そのうち脳神経外科専門医6名と専門医を目指す専攻医2名、他に岡山大学病院所属の非常勤医師3名、卒業1,2年目の初期研修医からなるチームで治療に臨みます。専門医の6名は全般的な脳神経外科的診療技術に加え、それぞれが脳腫瘍、脳卒中、脳血管内治療、頭部外傷、画像診断などのスペシャリストであり、様々な疾患の患者さんに状態に適した治療を提供できるものと考えています。特に脳血管内治療の分野では、数多くの専門医を擁するのが当科の特長です。さらに最新鋭MRI、CT、血管造影装置や脳卒中ケアユニット(SCU)は、治療の確実性、安全性の向上に寄与しています。
当院では、脳神経外科医だけでなく、リハビリ科や内科の医師、看護師、リハビリスタッフ、薬剤師、ソーシャルワーカーなど多職種から成る「脳疾患センター」を組織し、患者さんの早期社会復帰に向けて一丸となって取り組んでいます。例えば急性期脳梗塞では、24時間/365日体制で患者さんを受け入れ、必要な患者さんには血栓溶解剤を投与し、直ちに脳血管内治療も行います。入院中は糖尿病などの内科的疾患も治療しつつ、早期からリハビリを開始し、同時に回復期リハビリ病院との連携についても相談を進めます。

今後も“脳の疾患なら市民病院”と益々多くの方々に思っていただけるよう、精進を続けて参ります。

診療内容

上記以外にも脊椎脊髄疾患、頭部外傷、高血圧性脳出血など、この欄で説明しきれなかった多くの脳疾患があります。当科での診療を希望される方は、かかりつけ医にご相談の上、病状や基礎疾患について情報提供をいただければ、より速やかに診断、治療を進めることが可能です。

くも膜下出血(破裂脳動脈瘤)

くも膜下出血は、脳血管分岐部にできた脳動脈瘤が破裂して生じます。くも膜下出血が生じると、急激に脳圧が上がったり、脳が傷ついたりすることで、半数近くの方が命を落とされます。出血の程度が軽い場合には社会復帰することも可能ですが、再出血を生じると脳のダメージが悪化するため、破裂脳動脈瘤に対しては、早期に再破裂防止の治療を行う必要があります。

破裂脳動脈瘤の治療には開頭クリッピング術とコイル塞栓術の2つの方法があります。いずれも動脈瘤への血流を遮断することが目的で、クリッピング術は開頭して脳の溝を剥離して動脈瘤に到達し、瘤をクリップで閉じる手術で、一方、コイル塞栓術は動脈瘤の中にカテーテルを誘導して、柔らかいコイルを瘤内に詰める手術です。当科ではいずれの方法についても豊富な治療経験を有しており、患者さんによって適した方法を選択します。

くも膜下出血後には合併症にも注意が必要です。肺や心臓などの機能異常、血管が細くなる脳血管れん縮、頭の中に水がたまる水頭症を生じる危険性があり、これらも乗り越えられるよう治療を進めます。

開頭術によるクリッピング

イラスト:開頭術によるクリッピング

コイル塞栓術

イラスト:コイル塞栓術

未破裂脳動脈瘤

未破裂脳動脈瘤は、まだ破れていない状態の脳動脈瘤であり、脳ドックで数%の方に発見されます。発見された場合、造影CTやカテーテル検査で手術の必要性を判断します。最近の我が国の未破裂脳動脈瘤調査では、3mm以上の大きさの未破裂脳動脈瘤の年間破裂率は0.95%で、特に大きいものや特定の部位にある動脈瘤では破裂率が高めであることがわかりました。このため安全に治療できるものであれば破裂前に治療することが望ましく、一方、治療リスクが高いもの、あるいは破裂の危険性が低いものは治療せずに経過をみるべきと考えられています。経過をみる場合でも、定期的にMRIや造影CT検査を行い、サイズや形状が変化した際には、手術を考える場合もあります。

手術は開頭クリッピング術かコイル塞栓術かのいずれかを選択します。多くの方は無症状であり、手術は予防的なものですので、治療には高い安全性と確実性が必要です。当科ではクリッピングの際には術中蛍光血管造影や脳波測定を用いて合併症の回避に努めます。またコイル塞栓術では最新鋭の脳血管造影装置を使用し、バルーンカテーテルや脳血管ステントなどの補助的手段を適宜用います。

ステントを併用した未破裂脳動脈瘤コイル塞栓術

イラスト:ステントを併用した未破裂脳動脈瘤コイル塞栓術

急性期脳梗塞

脳梗塞は、脳血管が細くなったり、心臓にできた血栓が脳に飛んだりすることで、脳血管が詰まる病気です。麻痺やしびれ、言語障害(言葉がでない、呂律が回らない)、視力視野障害、計算力低下、めまい、複視、認知機能低下などの梗塞の場所により異なった症状を生じます。

脳梗塞治療の大きな転機は2005年の血栓溶解剤t-PAの登場でした。t-PAを静脈投与すると詰まった血栓を溶かして再開通させ、脳梗塞の拡大を抑え後遺症を軽減させます。但しt-PAは切れ味が鋭い分、逆に出血を起こして症状を悪化させる危険性があります。そのため発症から4.5時間以上経った人、最近大きな手術を受けた人、抗凝固剤を飲んでいる人、などには投与できません。また投与できても再開通しないこともまれではありません。

そこでカテーテル治療への期待が高まり、2010年以降、t-PA治療から外れた方、または投与しても再開通しない方に、血栓を回収するカテーテルが認可されました。さらに2014年にはステント型血栓回収機器が導入され、治療の有効性、安全性がさらに高まり、近年のガイドラインでは、適応力のある患者さんには血栓回収が強く勧められると明記されました。当科は血栓回収療法に関して、数多くの経験数を有しています。

急性期治療後も抗血栓剤の内服を続けます。また慢性期に脳血流不全状態が残り、脳梗塞再発の危険性が高い患者さんにはバイパス術やバルーンカテーテルによる拡張術を行うこともあります。

治療前(矢印が閉塞した右中大脳動脈)

血管造影:治療前(矢印が閉塞した右中大脳動脈)

ステント型機器と改修した血栓(矢頭)

光景:ステント型機器と改修した血栓(矢頭)

再開通後

血管造影:再開通後

頚動脈狭窄症

頚動脈狭窄症は、頚部内頚動脈にプラークと呼ばれる動脈硬化(アテローム)を生じ、プラーク内のコレステロールや血栓が脳に飛んだり、狭窄のために血流不全となったりすることで、狭窄側の視力障害や狭窄と反対側の麻痺やしびれなどの症状を来たします。症状は回復することもあれば、後遺症を残す場合もあります。回復した場合でも油断せず、直ちに病院を受診することが大切です。最近では脳ドックで、無症状の段階で発見される場合もあります。

MRIやエコーで頚動脈狭窄症と診断されたら、さらに造影CT、脳血流SPECT検査、脳血管造影、心臓検査などを行います。その結果、手術が不要と判断された場合でも、抗血小板剤内服や生活習慣病の管理といった内科的治療が必要で、MRIなどの定期的検査を続けます。

症状のある患者さんや無症状でも狭窄の程度が強い患者さんには手術を行います。方法としては頚動脈内膜剥(CEA)と頚動脈ステント留置術(CAS)の2つがあります。CEAは頚部を切開して頚動脈を露出し、プラークのたまった内膜部分を剥離摘出します。一方、CASはカテーテル治療の一種で、血管の中からメッシュ状の金属の筒であるステントを留置し、プラークとともに血管を拡げる方法です。当科ではいずれの方法も数多く行っています。

アテローム

イラスト:アテローム

CEA

イラスト:CEA

CAS

イラスト:CAS

脳動静脈奇形

脳動静脈奇形(AVM)は、生来の異常により、脳の一部で毛細血管が欠損し、動脈血が直接静脈側に注ぐ短絡状態(短絡部の血管の集まりをナイダスと呼びます)となった病気です。過大な圧が静脈側にかかることによって脳内出血を生じます。他の原因による脳卒中よりも若い年代で発症します。未破裂AVMの年間出血率は2%〜数%で、一度破裂したAVMの出血率はより高くなります。出血以外には、けいれん発作を生じたり、周囲の脳へ供給される血液がAVMに盗られることによって、麻痺やしびれ、認知機能の低下を生じたりする場合もあります。

AVMが見つかった場合、治療を行うべきかどうか、治療はどの方法がよいかに関しては患者さんの年齢や症状、出血の有無、AVMの場所や大きさ、治療の危険性などにより判断します。こちらから治療について適切な提案をさせていただくためにはMRIやCT、脳血管造影などの検査を行う必要 があります。

AVMの治療は、1)開頭手術、2)脳血管内治療、3)放射線治療(ガンマナイフ、サイバーナイフ)の3つに大きく分けられ、単独の方法で、あるいは組み合わせて治療を行います。

説明図:脳動静脈奇形

もやもや病

もやもや病は頚動脈が脳に入る直前の部分に進行性の狭窄を生じる病気です。脳への血流が減少するため、脳底部の本来細い血管が代償性に発達し、これは検査で煙が「もやもや」と立ち上るように見えることからもやもや病と呼ばれるようになりました。

もやもや病で血管が狭窄する機序は十分には解明されていませんが、最近の報告では遺伝子異常の関与が示唆されています。発症時期は10歳以下と30-40歳台に2つのピークが あります。

小児期の典型的な症状としては、過呼吸などで脳血管狭窄が一時的に悪化し、麻痺やしびれ、言語障害を生じます。成人では半数が頭蓋内出血で発症します。脆弱なもやもや血管に負担がかかることで出血すると考えられています。

脳虚血発作がみられる場合には血行再建術(バイパス術)をお薦めします。手術を行うことで、発作を減らし、将来の脳卒中の危険性を下げる効果が期待できます。当科では、頭皮の血管を脳表血管に吻合する直接バイパスと、脳表に筋肉などを接着させ、根が生えるような新生血管の発達を促す間接バイパスを組み合わせた複合的血行再建術を行っています。

説明図:もやもや病

脳腫瘍 (良性、悪性)

髄膜腫、聴神経鞘腫、血管芽腫、下垂体腺腫などの良性腫瘍に対しては脳と神経の機能を温存しつつ再発を防止する治療を心懸けています。必要に応じて術前栄養血管塞栓術を行い、術中には神経モニタリング、神経内視鏡、頭蓋底手術手技などを駆使して摘出します。

膠芽腫に代表される悪性腫瘍に対しては、術中に蛍光診断(化学的ナビゲーション)を行って腫瘍を出来るだけ摘出し、抗がん剤ウェハースの脳内留置を行います。術後には化学療法剤テモゾロミドや分子標的薬ベバシズマブを用いた後療法を行い、放射線療法の併用も検討します。悪性リンパ腫に対しては、手術摘出標本で診断を確定し、当院血液内科医と連携して、メソトレキセートなどによる化学療法を行います。

MRI:脳腫瘍

最近のほとんどの車には地図上に現在地を表示するカーナビゲーションが搭載されて便利になっていますが、脳神経外科の手術でも近年、安全で合併症の低減のためにナビゲーションシステムが利用されています。
当院でもMedtronic社の最新式ナビゲーションシステムを導入しています。
今までは、医師の経験により行われていた手術が、このシステムで脳腫瘍などの手術の際、開頭範囲を正確に示し、最少限の切開で行うことができ、脳内では病変部と周囲の正常組織との関係を3次元的に把握することができるので合併症の低減に役立っています。
また、このシステムは光学式と磁場式の二通りの位置の検出方法を行うことができ、特に磁場式では頭部の固定が不要であるため下垂体腺腫における経鼻的手術や局所麻酔下で行う脳生検などの際に利用しています。

実際の手術風景

ナビゲーションシステムがリアルタイムに病変部をナビゲートしてくれます。

手術用ナビゲーションシステム:実際の手術風景

機器写真:手術用ナビゲーションシステム

説明図:光学式ナビゲーション

説明図:磁場式ナビゲーション

片側顔面けいれん・三叉神経痛

片側顔面けいれんは、顔の半分が意思と関係なくぴくぴくするもので、目の周囲から始まり口元へと広がります。三叉神経痛は食事や歯磨きなどの際に、片側顔面に電撃痛を生じるものです。症状の原因は、いずれも神経が脳からでる部分に血管が当たり刺激を与えていることです。

治療として、耳の後ろに小さな開頭を行い、血管による神経の圧迫を解除する微小血管減圧術が著効します。手術以外の方法として、顔面神経痛ではボツリヌス毒素の筋肉注射を、また三叉神経痛では薬の内服や定位的放射線治療、神経ブロックなどを行う場合もあります。

イラスト:片側顔面けいれん・三叉神経痛

MRI:片側顔面けいれん・三叉神経痛

正常圧水頭症

水頭症は、頭蓋内で産生される髄液の流れや吸収が妨げられ、髄液が溜まって拡大した脳室が脳を圧迫し、認知症、歩行障害、尿失禁を来す病気です。高齢者にみられる原因不明のものを特発性正常圧水頭症(iNPH)と呼びます。

CTやMRIでiNPHが疑われたら、腰椎穿刺で背中から髄液を抜いて症状が改善するかどうかを判定するタップテストを行います。

改善が期待される場合には髄液シャント手術を行います。当科では頭蓋骨に穴をあけ、脳室から腹腔までの皮下にチューブを通す脳室腹腔シャント術か、腰椎髄液腔から腹腔までの皮下に通す腰椎腹腔シャント術のいずれかを選択しています。髄液の流れ過ぎや排出不足を回避するために、体外から圧の変更ができる圧可変式バルブをチューブの途中に介在させます。

MRI

MRI:正常圧水頭症

シャント手術

イラスト:正常圧水頭症

外来診療担当表

外来の診療担当表については、下記をクリックしてご覧ください(毎月更新)。

外来診療担当表

※外来診療休診のお知らせはこちらから

スタッフ紹介

院長
松本 健五 Kengo Matsumoto

顔写真:松本 健五

出身

昭和52年
岡山大学医学部卒

専門

脳神経外科手術
脳腫瘍、脳動脈瘤の外科
顔面けいれん、三叉神経痛

資格
日本脳神経外科学会専門医・指導医
日本脳卒中学会専門医
岡山大学医学部医学科臨床教授

論文業績.pdf

学会発表.pdf

院長のページ

主任部長
徳永 浩司 Koji Tokunaga

顔写真:徳永 浩司

出身

昭和63年
岡山大学医学部卒

専門

頭蓋底外科手術
血管内手術

資格
日本脳神経外科学会専門医
日本脳神経血管内治療学会専門医・指導医
日本脳卒中学会専門医
岡山大学医学部医学科臨床准教授
日本脳卒中の外科学会技術指導医

部長(総医局長補佐)
桐山 英樹 Hideki Kiriyama

顔写真:桐山 英樹

出身

平成6年
岡山大学医学部卒

専門

脳血管障害(脳卒中)
脳の画像診断
頭部外傷

資格
日本脳神経外科学会専門医
日本救急医学会専門医
日本脳卒中学会専門医
日本頭痛学会専門医
JATECインストラクター
JPTECインストラクター
ISLSファシリテーター
臨床研修指導医
岡山大学医学部医学科臨床教授

主任医長(副医局長)
渡邊 恭一

顔写真:渡邊 恭一

出身

平成10年
岡山大学医学部卒

専門

脳神経外科一般
血管内手術

資格
日本脳神経外科学会専門医
日本脳神経血管内治療学会専門医
ISLSファシリテーター
臨床研修指導医

主任医長
井上 智 Satoshi Inoue

顔写真:井上 智

出身

平成13年
岡山大学医学部卒

専門

脳神経外科一般
脳腫瘍

資格

日本脳神経外科学会専門医
日本脳神経血管内治療学会専門医
日本脳卒中学会専門医
日本脳卒中の外科学会技術認定医
ISLSファシリテーター
臨床研修指導医

医員
髙杉 祐二 Yuji Takasugi

顔写真:髙杉 祐二

出身

平成20年
岡山大学医学部卒

専門

脳神経外科一般
血管内手術

資格
日本脳神経外科学会専門医
日本脳神経血管内治療学会専門医
ISLSファシリテーター
臨床研修指導医

医員
駿河 和城 Yasuki Suruga

顔写真:駿河 和城

出身

平成28年
佐賀大学医学部医学科卒

専門

 

医員
永瀬 喬之 Takayuki Nagase

顔写真:永瀬 喬之

出身

平成28年
岡山大学医学部医学科卒

専門