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血液・腫瘍センター

血液・腫瘍センターについて

血液・腫瘍センターは、岡山市だけでなく、県全域、他県も含めて広範囲な地域より患者さんを受け入れています。
クラス100の清浄度を誇るバイオクリーンルーム(BCR)10床を備え、高度の免疫機能低下を伴う化学療法を行っています。
医師、看護師だけでなく、理学療法士、薬剤師、ソーシャルワーカー、栄養士など多職種のスタッフで相談しながら、各患者さんの状態に合わせた最適な治療を目指しています。

高齢の血液腫瘍の患者さんが増えています

血液内科で診療する悪性腫瘍は、白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫に大別されます。代表的疾患である白血病は高齢化とともにわが国で年々増加傾向にあります。

白血病とは若い人に多いイメージがあるかもしれませんが、実際は図1のように高齢者で発症率が高い病気です。小児から20歳代において白血病は最も発生頻度の高いがんであり、若い人がより注目されやすい傾向があるかと思います。男性が多いのは喫煙と骨髄性白血病との関連があるからです。

様々ながんの治療が進歩する中で、他のがんの治療後に二次がんとして血液腫瘍を発症される方も増えています。

グラフ:白血病の年齢別罹患率(2021年)

図1:白血病の年齢別罹患率(2021年)

治療法の進化が著しい血液腫瘍領域

急性白血病に対する新規治療

急性白血病は骨髄性とリンパ性に大別され、治療で使う薬剤が異なりますが、強力な化学療法により白血病細胞の根絶を目指していきます。

また、治療経過で造血幹細胞移植を選択する場合もあります。近年、急性白血病に対して使用できる新規の分子標的治療薬が増えてきました。分子標的治療薬には、がんの原因となる遺伝子が産生する蛋白を特異的に不活化する薬剤、細胞表面に結合する抗体でがん細胞を攻撃する薬剤などがあります。

急性骨髄性白血病(AML)に対してはアザシチジンというDNAメチル化阻害剤が適応となり、さらに細胞のアポトーシスを制御する蛋白Bcl-2の阻害剤であるベネトクラクスを併用した治療が行えるようになりました。こちらは高齢の方や、併発症により従来の強力な治療が難しい方にも比較的行いやすい治療です。従来の化学療法で効果が得られない方にも奏功する場合もあり、大変期待が持てる治療法です。

一方、再発・難治性の急性リンパ性白血病(ALL)に対しては、抗体に抗がん剤を結合させた薬剤や、二重特異性抗体という新たな治療法が使用できるようになってきています。

悪性リンパ腫、多発性骨髄腫に対する新規治療

悪性リンパ腫の中で最も多いタイプであるびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)に対して、抗がん剤と結合した新規抗体薬(ポラツズマブ・ベドチン)を使用した治療法は、従来の標準治療であるR-CHOP療法を上回る治療成績を示しています。

また、ホジキンリンパ腫に対しても新規抗体薬(ブレンツキシマブ・ベドチン)を使用した治療が、従来治療の成績を上回っており、治療法の進化を実感します。

多発性骨髄腫についても新規治療薬の開発が進んでおり、プロテアソーム阻害薬、免疫調節薬、抗体薬などが使用できるようになって大幅に治療成績が向上しています。

二重特異性抗体による治療

2つの異なる標的に同時に結合できる二重特異性抗体という抗体薬が開発され、再発・難治性の急性リンパ性白血病、悪性リンパ腫(びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫)、多発性骨髄腫に対して使用できるようになっています。リンパ球の一種であるT細胞はウイルス感染細胞やがん細胞を直接攻撃・排除する機能を持っています。そのT細胞と白血病やリンパ腫などの腫瘍細胞とを結合させることで、T細胞によって腫瘍細胞を攻撃しようという薬剤です。(図2)

このように、体内に元々ある免疫システムを使ってがん細胞を攻撃する薬剤が増えていますが、その治療効果も優れているため、当院でも積極的に導入しています。

画像:二重特異性抗体

図2:二重特異性抗体

岡山大学病院と連携した治療

再発・難治性の急性リンパ性白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫に対してCAR-T療法(キメラ抗原受容体発現T細胞療法)という患者さんのT細胞を採取して、腫瘍細胞を認識し攻撃するように改変したものを体内に戻す治療があり、こちらは近隣の岡山大学病院に依頼して行っています。

また、同種造血幹細胞移植、新規薬剤の治験などの適応がある場合も岡山大学病院に紹介して連携して治療を行っております。

バイオクリーンルーム10床を有する専門病棟

8階東病棟にバイオクリーンルーム(無菌室)10床を備えた専門病棟を設置し、急性白血病など高度に免疫機能が低下した患者さんも含めて、約40~50名の入院治療を行っています(写真1)

再発・難治性のリンパ腫、多発性骨髄腫に対して大量化学療法+自家末梢血幹細胞移植の治療をバイオクリーンルームにて行っています。当院では約30年前からこの治療を行っていますが、腫瘍を根絶する強力な治療として現在も年間10~20例程度の移植術を施行しています。

画像:写真1 バイオクリーンルーム

写真1:バイオクリーンルーム(無菌室)

外来化学療法室で行う外来治療

新規分子標的治療薬の開発により、血液腫瘍においても外来で治療を行う場合が増えてきました。外来化学療法室は陽当りのよい2階の26ブロックに位置しており、治療を行うリクライニングシート、ベッドが計15床用意されています。

入院から外来へと治療環境がスムースに移行できるように、事前にオリエンテーションを行い、患者さんのご不安を軽減するように努めています。

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血液内科