岡山市立市民病院では、末梢血管外来を開設しており、下肢静脈瘤の診断・治療を行っております。
このページでは下肢静脈瘤を発症している方に見られる症状や、その治療方法についてご紹介しています。
気になる症状が見られる方は是非当院の末梢血管外来までご相談ください。
下肢静脈瘤は自然に改善することは難しく、時間の経過とともに徐々に悪化していきます。重症化すると湿疹や皮膚硬化症などの「うっ滞性皮膚炎」を合併します。
さらに悪化すると「潰瘍」になってしまいます。
正常な静脈は、血液を心臓に戻す役割をしており、足の方に血液が戻ってしまうのを防ぐために弁が備わっています。この弁が壊れることで足に血液が逆流してしまい、足のだるさやこむら返り、血管がふくれてこぶのようになる病気が下肢静脈瘤です。
正常な静脈弁
静脈弁がこわれ血液が逆流し
血管が拡張
高齢の患者さんの方が多いとされています。男性に比べて女性が2~4倍程多いと報告されています。
立ち仕事の多い職業の方に多く発症することが報告されています。妊娠・出産を経験された女性に多く発症することが報告されています。
下肢静脈超音波検査の様子
8㎜大に拡張した静脈瘤
静脈が逆流している波形を認める
下肢静脈瘤の診断では、超音波検査が中心になります。下肢静脈超音波にて静脈瘤ができる表在静脈の拡張(5mm以上)と逆流(0.5秒以上続く)を認めると、侵襲的な(血管内治療など)治療が必要な静脈瘤である可能性が高いです。その他の下肢の症状の原因となる、深部静脈血栓症(通称:エコノミークラス症候群)やリンパ浮腫などがないか調べます。
補助的な診断方法としては、下肢のMRI検査などで静脈瘤の走行を調べたりします。
現時点では、下肢静脈瘤自体を治すような内服薬(飲み薬)や点滴の治療法はありません。下肢の症状(むくみ、こむらがえり、痛み、かゆみ)を改善させる内服薬や塗布剤(塗り薬)はありますが、静脈瘤自体を治すわけではなく、症状の改善が目的です。
弾性ストッキング(足を圧迫するための医療用ストッキング)を用いることで症状の改善をおこないます。足を締めつけて、ふくらはぎの筋ポンプ作用によって静脈還流をうながし、足に血液がたまるのを防ぎます。
硬化療法は、下肢の静脈瘤に薬を注射して固めてしまう治療です。軽症の下肢静脈瘤に行います。進行した静脈瘤には治療効果が期待できない場合もあります。薬剤による色素沈着やアレルギーが起こることがあります。
血管内焼灼術は、 静脈を内側から焼いてふさぐ治療です。
細い管(カテーテル)を病気になった静脈の中に入れて、内側から熱を加えて焼きます。焼いた静脈は、治療後半年ぐらいで吸収されてなくなります。当院では高周波電流を使う高周波(ラジオ波)治療を主に行っています。
カテーテルを静脈内に挿入。
血管内(静脈瘤内)を超音波(エコー)で確認しながら、焼きます。
高周波焼灼治療器
医療用の接着剤を静脈瘤内に入れ、病気になった下肢静脈を閉塞させる治療です。これにより、重要な合併症である熱による神経損傷の危険性がなくTLA麻酔も使用しないので、よりシンプルで低侵襲な治療が可能になりました。ただアレルギー体質の方や、大きな静脈瘤の場合には行えません。
静脈瘤のある血管にワイヤーを通して、血管を引き抜く治療になります。静脈瘤の大きさが非常に大きいときに行うことがあります。その他、膝から先の静脈瘤に対して、数㎜の切開で直接静脈瘤をぴっぱり出して切除するスタブアバルジョン法があります。
スタブアバルジョン法
当院では高周波を用いたカテーテルによる血管内治療を第一選択としていますが、患者様の病態に合わせた最適な治療法をご相談させていただきながら決定いたします。
下肢静脈超音波検査の様子
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・手術翌日の朝に、手術した部位が問題ないか確認した後、ストッキングを履いて退院になります。 退院後の注意事項について 詳しくはこちら
・術後1週間後を目途に外来受診していただき、手術した部位に問題がないか確認します。