関節リウマチや年齢とともに日常生活に介護が必要になったときに、一部の負担金で生活を手助けしてくれる「介護保険制度」についてご紹介します。
40歳以上の国民が被保険者として加入し、要介護認定を受けた際に費用の一部を負担して介護サービスを受けることができる制度です。 介護が必要な高齢者を社会全体で支えるための制度で、40歳になると一部例外を除き、国民全員が加入します。
被保険者は年齢によって2つに分けられています。
第1号被保険者 | 65歳以上の方 |
第2号被保険者 | 40~64歳で医療保険(国民健康保険など)に加入している方 |
☆介護保険制度の利用は、原則として「第1号被保険者」が対象となっていますが、関節リウマチは介護保険法で 「特定疾病」の指定を受けており、要介護認定を受けた場合には、40歳からでも介護保険のサービスを利用することができます。
① 要介護認定の申請をします。
市町村の窓口(各福祉事務所・支所など)で必要書類を提出します。申請は利用者本人だけでなく家族、成年後見人、地域包括支援センターなどが代行することもできます。
〈必要書類〉
要介護(要支援)認定申請書、介護保険被保険者証、健康保険被保険者証(第2号被保険者の場合)
② 認定調査が行われます。
市町村から依頼を受けた調査員などが自宅を訪問し、心身の状況を調べるために、利用者本人と家族などから聞き取り調査などをします。
また、かかりつけ医の主治医から介護を必要とする原因疾患などについて記載してもらう主治医意見書を作成してもらいます。
③ 審査・判定されます。
認定調査などの結果や主治医意見書をもとにした一次判定・二次判定により、要介護状態区分が決定します。
④ 審査結果にもとづいて認定結果が通知されます。
以下の要介護状態区分(=要介護度)に認定されます。結果が記載された「認定結果通知書」と「介護保険被保険者証」が届きます。あわせて、利用者負担の割合が記載された「介護保険負担割合証」も発行されます。
要介護1~5 | 生活機能の維持・改善を図ることが適切な人などです。介護保険の介護サービスが利用できます。 |
要支援1・2 | 要介護状態が軽く、生活機能が改善する可能性の高い人などです。介護保険の介護予防サービスなどが利用できます。 |
非該当 | 要介護や要支援に該当しない人ですが、生活機能の低下により、将来的に要支援などに移行する可能性がある人などです。市が行う一般介護予防事業が利用できます。 |
◆要介護・要支援の認定を受けると、ケアマネージャーや地域包括支援センターの担当者と相談の上ケアプランを作成し、利用者がそのケアプランに同意した上でサービス提供事業者と契約を交わし、介護サービスや介護予防サービスが開始されます。
在宅サービス | 訪問・通所介護、訪問入浴介護、訪問看護、訪問・通所リハビリテーション、短期入所生活介護 など |
施設サービス | 介護老人保健施設、介護老人福祉施設 など |
地域密着型サービス | 小規模多機能型居宅介護、夜間対応型訪問介護、認知症対応型共同生活介護 など |
環境整備 | 福祉用具貸与、特定福祉用具販売、住宅改修費支給 |
※このほか「24時間対応の定期巡回・随時対応型サービス」、「複合型サービス」、「介護予防・日常生活支援(総合事業)」など、より利用者のニーズに沿ったサービスが実施されています。
ケアプランにもとづいてサービスを利用した場合、かかった費用の1~3割をサービス事業者に支払います。
在宅サービス・介護予防サービスは、要介護度に応じて介護保険から給付される1ヵ月当たりの上限額(支給限度額)が決められています。上限額を超えてサービスを利用した場合、超えた分は全額利用者の負担となります。
介護が必要になると自宅での生活が難しく感じたり、家族をはじめとする支援者の負担感も増えてきます。介護保険制度を上手に利用して、できるだけ本人らしい生活を続けていきたいですね。まずはかかりつけ医に相談し、お住まいの地域の相談窓口や医療ソーシャルワーカーにお問い合わせください。
岡山市立市民病院 入退院管理支援(PFM)センター 地域医療支援課
医療ソーシャルワーカー 西山美帆
《参考文献》