ロゴ:岡山市立市民病院

文字サイズ

標準

ボタン:TEL
ボタン:MENU
  • 音声読み上げ
  • 文字サイズ調整
  • 背景色
  • 言語切り替え

第265回リウマチ教室:感染症から身体を守るための食事のポイント

解説:岡山市立市民病院 栄養科 板野 裕美(更新日:2021/11/18)

 

はじめに

昼夜の寒暖差もだんだんと大きくなり、少しずつ冬の気配を感じる時期になりました。
これからの時期は様々な感染症に注意が必要です。特に関節リウマチでステロイド剤を服用中の方は免疫力が低下し、感染症にかかりやすくなります。手洗いやうがい、マスク着用などの予防方法を心がけることや感染症に負けない身体づくりも大切です。
今回は免疫力を上げて、感染症から身体を守るための食事のポイントについてご紹介します。
 

 

免疫力を上げるための食事~4つのポイント~

まず、感染とは空気中に含まれる細菌やウイルス、カビなどの病原体が体内に侵入することです。そして、それらによって引き起こされる病気のことを感染症と言います。
免疫力とは「疫(病気)」を「免れる力」のことです。感染を防いで自分の身を守ろうとする、いわゆる「生体防御力」のことを指します。 免疫力を高く保つことができていれば、細菌やウイルス、カビのような外敵から身を守ることができます。
 

 

1.1日3食バランスの良い食事をしましょう

免疫の機能がきちんと働き、健康な身体を維持・増進するためには、1日3食規則正しくバランスよく食べることが基本で重要になります。 新型コロナウイルス感染症により外出自粛の影響を受け、自宅で食事をする機会が多くなっていた最近では毎日の食事作りが負担となり、麺類や丼ものなど簡単なもので済ませることもあったのではないでしょうか。例え時間をかけて作った料理でなくても、主食・主菜・副菜が そろった食事をすることが大切です。毎食以下のようにそろえましょう。 

  • 主食・・・ご飯、パン、麺から1品
  • 主菜・・・肉、魚、卵、大豆製品を使ったおかずを1品
  • 副菜・・・野菜、海藻、きのこ、こんにゃくを使ったおかず2~3品
    202111_rheumatism01.png

2.良質なたんぱく質をとりましょう

たんぱく質は、筋肉や臓器、皮膚、髪、爪、血液、ホルモン、酵素など私たちの身体を構成する栄養素ですが、免疫細胞を構成する成分でもあります。そのたんぱく質が不足する と、身体を構成しているたんぱく質が分解されてしまいます。そして、その影響によって体温の低下を招き、免疫力が低下してしまう原因になるので注意が必要です。良質なたんぱく質をとることで免疫細胞の働きを良くしてくれるので毎日欠かさずとりましょう。

<良質なたんぱく質を多く含む食品>
赤身の肉、青魚、豆腐、納豆、卵、牛乳、チーズなど

3.抗酸化作用を含む食品をとりましょう

免疫力を上げるためには、活性酸素の発生や働きを抑制する抗酸化作用をもつ栄養素を摂取することが効果的です。 活性酸素とは、呼吸によって体内に取り込まれた酸素の一部が、通常よりも活性化された状態になることです。活性酸素は細胞や組織にダ メージを与えるため、増えすぎると免疫力が低下してしまいます。そこで抗酸化作用のある以下の栄養素をとることをおすすめします。 
 

●ビタミンA(βカロテン)

ビタミンAはレチノールとβカロテンの2種類に分類することができます。特にβカロテンは優れた抗酸化作用を持ち、粘膜を強化し、 ウイルスの侵入を防ぎます。その結果、身体全体の免疫力を上げることにつながります。 主に緑黄色野菜などの植物性食品に含まれており、体内で必要なビタミンAにかえてくれます。

<ビタミンA(βカロテン)を多く含む食品>
人参、ほうれん草、春菊、小松菜、かぼちゃなどの緑黄色野菜、チーズ、卵など
 

●ビタミンC

ウイルスや細菌と闘う白血球の働きを強化して、免疫力を上げてくれます。

<ビタミンCを多く含む食品>
レモン、いちご、オレンジ、グレープフルーツ、赤ピーマン、ブロッコリー、じゃがいもなど
 

●ビタミンE

ビタミンA、Cと一緒に摂ると相乗効果が期待できて、さらに抗酸化作用が高まります。

<ビタミンEを多く含む食品>
かぼちゃ、ブロッコリー、アボカド、ナッツ類、ひまわり油、ウナギ、たらこなど
 

●ポリフェノール

ほとんどの植物に存在しており、数多くの種類があります。強い抗酸化作用があり活性酸素を封じ込める作用があります。

<ポリフェノールを多く含む食品>
赤ワイン、ブルーベリー、イチゴ、緑茶、そば、大豆、ココア、トマト、生姜など
 

 

4.腸内環境を整えましょう

近年注目されているのが「腸」です。腸は食べたものを消化するだけでなく、全身 の免疫を司る重要な役割を担っていることが明らかになってきています。腸内環境のバランス の乱れは免疫力に影響してしまいます。免疫力を上げるためには、腸内環境を整え腸の健康を保つことが重要です。 腸内環境を整えるポイントは、健康に有用な 作用をもたらす生きた善玉菌であるビフィズス菌や乳酸菌の「プロバイオティクス」、そして、腸内にもともと存在する善玉菌を増やす作用のあるオリゴ糖や食物繊維の「プレバイオティクス」をとることです。善玉菌を活性化させる食品を積極的にとり、腸内環境のバランスを整えましょう。 
 

<ビフィズス菌や乳酸菌を多く含む食品>
ヨーグルト、乳酸菌飲料、納豆、漬物など

<オリゴ糖を多く含む食品>
大豆、玉ねぎ、ごぼう、ねぎ、にんにく、アスパラガス、バナナなど

<食物繊維を多く含む食品>
野菜、海藻類、きのこ類、豆類、いも類など

 

おわりに

以上、免疫力を上げるための食事のポイントをご紹介しましたが、食事だけでなく適度な運動や十分な睡眠、ストレス発散なども大切なポイントとなります。規則正しい生活とバランスの良い食事を心がけましょう!!
 

 

 

                               岡山市立市民病院 栄養科 板野裕美

 

《参考文献》

  1. 一般社団法人日本リウマチ学会:副腎皮質ステロイド
  2. メディックメディア:病気がみえる6 免疫・膠原病・感染症 第2版
  3. 中村丁次:見てわかる!栄養の図解事典 第1版
  4. 日本病態栄養学会:病態栄養ガイドブック第6版
  5. e-ヘルスネット(厚生労働省):腸内細菌と健康

 

PDFダウンロード

このページをPDFで閲覧・印刷される方はこちらからダウンロードしてください。

第265回リウマチ教室:感染症から身体を守るための食事のポイント