暑さ厳しき折、ご自愛のほどお祈りいたします。
8月現在、岡山県内の感染者数は累計で9500人を超えており、これは岡山県の人口で考えると約200人に1人はコロナウイルス感染症に罹患していることになります。身近な家族がコロナウイルス感染症になってもなんら珍しくない状況になっています。コロナウイルス感染症に罹患しても軽症であるため自宅待機をされている方も多いと思います。もしも同居人がコロナウイルス感染症にかかった場合、特に内服薬の副作用で免疫力が低下しているリウマチ治療中患者は自宅の過ごし方について不安が少なからずあると思います。
皆様の不安が少しでも解消できるように、今回の講義は感染予防も踏まえた自宅での過ごし方について重点を置いた内容にしています。以前にリウマチ教室を受講されたことがある方は、ご存知の内容もあるかもしれませんが、復習と感染症対策の意識付けも兼ねた内容ですので、参考にして頂けたら幸いです。
新型コロナウイルス感染症の感染経路は一般的に手を介してウイルスが口や鼻に運ばれる接触感染と、喋ったり、咳やくしゃみをした時に発生する飛沫を口や鼻で吸い込んで感染する飛沫感染と言われています。非感染者は感染者と部屋を分けるようにしましょう。どうしても分けることが難しい方は仕切りやカーテンを利用したり、寝るときの頭の位置を互い違いになるようにしましょう。
家族内で新型コロナウイルス感染症が流行しないように、お世話は限られた人が行いましょう。免疫抑制薬やステロイド薬、生物学的製剤で治療中の方はお世話しないことをお勧めします。
同居者は全員マスク装着するようにしましょう。なお、マスク装着に伴い、口腔内が保湿されるため口渇感を感じにくく、水分摂取が少なくなる可能性もありますので、こまめに水分摂取をするようにしてください。特に抗リウマチ薬(メトトレキサートもしくはリウマトレックス)内服中の方は脱水になると腎障害の副作用が出現する危険性もあるので注意が必要です。
外出後や食事前は石鹸やハンドソープを使用し、手洗いをしてください。手洗いに最低でも15秒以上かけることが推奨されており、洗い流すのが大事です。手指のアルコール消毒は手洗い後が理想的です。頻回の手洗いと手指消毒で皮膚トラブルに成りかねないので、ハンドクリームなどによる保湿もお勧めします。
定期的に数分間程度室内の換気をしましょう。室内の空気の流れを作ることも大事であり、複数の窓がある場合は2方向の壁の窓を開放しましょう。窓が1つしかない場合は、窓と部屋のドアを開けることお勧めします。
ドアノブ、トイレ、お風呂、洗面所など共有スペースなどはこまめに洗浄と消毒が必要です。一般的に消毒はアルコールと次亜塩素酸ナトリウムが有効といわれています。しかし、次亜塩素酸ナトリウムは刺激が強く、金属も腐蝕させてしまうので、次亜塩素酸ナトリウムで消毒後は念入りに水拭きし、活用時は手袋などをして直接皮膚に当たらないようにし、換気もしましょう。また、次亜塩素酸ナトリウムは時間経過とともに消毒効果は薄れるので作り置きはしないようにしましょう。
洗濯物はマスクと手袋を装着して取り扱いましょう。洗濯は洗濯用洗剤で通常の洗浄でかまいません。感染が疑われる家族の使用したものを分けて洗う必要はないですが、洗浄前のものを共有しないようにしてください。
自宅療養中は二重にゴミ袋にいれるなど密閉して一般ゴミで廃棄しましょう。廃棄の際はマスクと手袋を装着して、廃棄後の手洗いも忘れないようにしましょう。
①入院時や宿泊療養施設を活用する時の準備物品は岡山市のホームページの新型コロナウイルス関連情報をご参考ください。
(「岡山市 新型コロナウイルス感染症について」で検索、または下のリンクなどから)
②食料・日用品などは療養したときのことを考えた量を備蓄するか配送サービスを活用しましょう。あらかじめ活用可能な配送サービスを確認しておきましょう。保健所から配食サービスも申し込めるので希望者は確認してみましょう。備蓄時は買い占めはせずにローリングストック方式で行ってください。
※ローリングストック方式:普段から少し多めに食材、加工品を買っておき、使ったら使った分だけ新しく買い足していくこと。
③自宅療養中に薬の準備をしておくことが大切です。自宅療養中であっても抗リウマチ薬、生物学的製剤、ステロイド薬、免疫抑制薬を自己判断で中断する訳にはいかないので、かかりつけ医に電話再診を受けた上でお薬の処方または薬の調整を受けるようにしましょう。1人暮らしの自宅療養者の方は保健所にご相談ください。
指先から血中酸素飽和度を測定できるパルスオキシメーターと体温計は保健所から借りることが可能ですので、ホテルや自宅療養される方は保健所に確認してみましょう。
洪水浸水想定区域内や土砂災害警戒区域内などで自宅療養している方について、台風などで避難所への避難が必要だとお住まいの市町村が判断した場合、原則、宿泊療養施設への避難となります。
以上の内容は下記のwebサイト並びに文献から参考と引用をしております。情報の正確さは万全を期したつもりですが、新型コロナウイルスに関する知見は日々蓄積されて見直されておりますので、疑問点があればその都度主治医にご確認ください。
岡山市立市民病院 リウマチセンター 看護師
岩藤 翔
《参考文献ならびにWebサイト》
・日本リウマチ学会>新型コロナウイルス(COVID-19)の関連情報
https://www.ryumachi-jp.com/
・岡山市HP>新型コロナウイルス感染症について
https://www.city.okayama.jp