ロゴ:岡山市立市民病院

文字サイズ

標準

ボタン:TEL
ボタン:MENU

岡山で安心して生活するための救急医療

スペシャリストに聞いてみよう!(診療のチカラ)(更新日:2017/11/20)

救急センター長:桐山 英樹の微笑んでいる立ち姿の写真

救急センター長:桐山 英樹

ポイント

岡山の救急医療は、岡山に住む皆さまが安心して生活できるよう、365日24時間、すべての患者さんを受け入れる「断らない救急」の実現に向けて全力を注いでいます。

市民病院の3本柱「救急・教育・災害」の1つ、「救急」を担っている救急センターについて様子を教えてください。

旧病院(岡山市天瀬/2015年4月末まで)から新築移転後は、以前の10倍以上の敷地を救急センターとして利用させてもらっています。当初は広すぎて戸惑いもありましたが、今はスムースな診療ができています。24時間365日、病気の領域や症状の程度にかかわらず、すべての患者さんを受け入れて初期診療を行う岡山ERの機能として、「断らない救急」が実現できるようにスタッフ一丸となって頑張っています。

その「断らない救急」というのは大変ではないのでしょうか?

大変です。現実的には救急車に限っていうと、97%の受け入れ実績(2016年度)であり、3%程度は受け入れができていません。ただし(よく誤解されるのですが)救急車をお断りする時には必ず理由があります。例えば、すでに数名の重症な患者さんを診察中であり、これ以上同時に患者さんを診察すると診療ミスなどの危険性があると考えたときや、手術室がいっぱいであり使用できない状況で明らかに一刻を争う手術が必要な患者さんなどは受け入れをしていません。「断らない救急」とは安全な医療を提供できるという大前提があるわけです。

救急患者さんは増えているのですか?

全国的には年々増加していますし、岡山県内、岡山市内も同様に年々増えています。ただし、この10年間で救急患者さんの特徴は変わってきています。明らかに減少しているのは、交通事故の患者さんです。これはシートベルト着用が徹底されてきたこと、エアバック等の車の安全性が向上したことなどが理由と考えられます。さらに、今後は衝突事故を回避できる技術や自動運転する技術などの進歩があるようですので、更に交通事故は減少するのではないかと期待しています。その代わり増加しているのは、ご高齢の方の病気や転倒に伴う骨折などです。

そうした救急医療の変化を踏まえて、市民病院として新しい取り組みが始まっていますね。

市民病院は救急患者さんを受け入れ、手術治療や点滴治療を行う「急性期病院」という種類の病院なのですが、ご高齢の方は治療が終わった後で自宅に帰る前にリハビリが必要なことが多いです。そこで、自宅に復帰される前に歩行訓練などをする病院として同じ法人内のせのお病院をご案内させていただいています。
また、入院から退院までを分かりやすく説明する患者支援を行う部門を独立しました。この「患者支援」をキーワードとして患者さんを中心に考える病院作りが、ご高齢の方々により安心いただける医療の提供に繋がると考えています。

このまま救急車が増え続けると一つの病院だけでは対応できないですね。

実は岡山県では「岡山県救急医療情報システム」を昨年新たに構築しています。これには岡山県内のすべての救急病院が登録されており、「今、どの病院がどの診療科を診察できるか」「今、どの病院が救急車を受け入れたばかりか」などの情報共有ができます。この情報は救急隊とも共有しておりますので、「この患者さんは脳の病気のようなので、この近くで脳外科の先生がいる病院をさがそう」「あの病院は5分前に救急車が入ったばかりなので、近くの別の病院をさがそう」などという調整が可能です。
さらに、岡山市内の救急病院は定期的に会合を開いており、お互いに顔の見える関係ができているので、自分の病院で緊急手術が難しい場合には別の病院へお願いするなどの横の連携が十分に取れています。救急患者さんの増加に対して、一つの病院で対応するのでなく、地域全体で対応するようになっています。

 市民病院の3本柱「救急・教育・災害」のうち、残りの「教育」や「災害」に関してはいかがですか?

「教育」に関しては、救急センターだけでも医学生を年間で130人受け入れて教育を行っています。また、救急センターでは当院で研修中の15名の研修医に加え、岡山大学の研修受け入れとあわせて、50名の研修医を対象に救急患者さんへの対応の教育を実践しています。さらに、救急隊の教育にも力をいれており、年間約80名の救急救命士の教育を行っております。
また、「災害」に関しては2015年の病院移転後に災害拠点病院となりました。これに伴い、DMATと呼ばれる災害現場に派遣する医療チームを編成いたしました。2016年4月の熊本地震の際にはDMATチームが被災地に出向き、現場の医療支援を行いました。

救急センターの医師以外でも変化があるそうですね。

近年、心臓疾患や脳疾患ではカテーテル治療と呼ばれる治療が普及してきています。細いチューブを血管の中から心臓や脳まで運び、心筋梗塞や脳梗塞、くも膜下出血の治療を行います。この治療は一刻を争うことが多く、時間との闘いとなります。以前から当院でもこの治療を数多く行っておりますが、救急の看護師がそのままカテーテル室の準備や看護をできる体制を構築してきています。これにより、救急センターで診断が終わった後で治療を開始するまでの時間が大幅に短縮され、患者さんの救命率向上、後遺症の軽減に貢献できると考えております。

岡山市立市民病院の救急センターの今後についてお願いします。

平成29年度になり、救急医師が増員となりました。現在、7名の医師が救急センターのスタッフとして活動しています。それぞれが、ERマインドを持っており、更に個々の医師が脳疾患や内科疾患、小児疾患などの得意分野を持っています。それぞれの医師が自分の専門性を活かして救急患者に貢献でき、チームとして救急患者さんに適切な対応ができるように努めていきます。また、引き続き教育にも力を注ぎ、若い先生が救急医療の大切さとやり甲斐を感じていただき、10年後も20年後も当院の救急センターで医療が継続できるように救急医師を育成していきます。
岡山に住んでいる方々が「市民病院があるから安心だね。」と感じていただけるように、我々はこれからも精一杯の医療を提供していきます。