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ジェンダー診療について

当院のジェンダー診療

当院では、公立医療機関としての役割を踏まえ、性別不合(GI)等、性別に関する違和感を抱える方に対して医学的に適切と判断される場合に限り、ジェンダーに関する手術を行います。

ジェンダーに関する手術は、外見や身体的特徴を整えること自体を目的とするものではなく、医学的観点から心身の負担軽減や生活の質の向上を図る医療行為の一つです。

当院では、お一人おひとりの背景やお気持ちを大切にしながら、慎重に診療を進めています。

※ 性別不合(GI):身体の性と心の性が一致しないこと
(性同一障害(GID)という病名はWHO・ICD-11により精神科疾患から除外され、性別不合(GI)となりました)

※当院を受診するには、岡山大学病院精神神経科、もしくはさとうクリニックの紹介が必ず必要となります。
 (他院で判定会議の承認を得ているかどうかに関わらず) 

診療体制

2026年4月から診療を開始いたします。
なお、患者さんの心身の安全を最優先に考え、完全紹介制といたします。

事前に精神科医の診断と心理療法士の診療を受け、精神科、婦人科、泌尿器科、形成外科、外部委員から構成されるジェンダーカンファレンスにおいて、性別違和の手術治療について適応があると判定された当事者を対象とします。当院で手術を行う医師は、性別違和に関するガイドラインの策定に関与しており、当院ではそのガイドラインに準拠した適正な診断と治療を提供できる体制が整備されています。
さらに、当院精神科医は、ジェンダー関連疾患の専門家として、入院中の当事者の診療を担当する予定であり、手術前後を通じて精神的サポートを含む包括的な医療を提供できる体制を確保しています。

診療体制

対象者 岡山大学病院精神科、さとうクリニックを受診・治療判定を行い、カンファレンスでの多職種判定を経た後、手術加療などが適正と判定された方
外来日 週1回
手術日 金曜日の午前中(手術室の枠を確認し調整)
診療チーム

岡山大学医師を招聘し、経験豊富な医師を中心に後期レジデント2名を加えた4名体制で安全な手術の遂行に努めます。

入院期間(目安)
  • 乳房切除術:4泊5日
  • 性別適合手術(陰茎形成・外陰部女性化手術):2週間程度
入院環境 患者さんのプライバシー保護を徹底するため、入院中は原則として個室で対応いたします。

 

※既にホルモン治療を行っている方の性別適合手術は健康保険適用になりません。

ガイドラインに準拠した手術適応の決定プロセス(連携病院での実施含む)

ガイドラインを遵守しており、精神科2名の診断のもと、カンファレンスでの診断の適性を多職種で判定しています。その後、形成外科での手術加療についての詳細な説明を数ヶ月ごとに合計3回行い、本人だけでは無く、親族への同意を得てから、再度手術可否の判定をカンファレンスで行います。
外来での手術説明にて、治療への理解が得られた段階で手術へと進みます。
術後もカンファレンスで経過とともに多職種で評価を行い、継続した外来治療を多職種で継続していきます。

01. 初期診療

  • MTF(AMAB)は泌尿器科、FTM(AFAB)は婦人科を初診とする
  • 遺伝学的性と性自認と、性自認の一貫性の評価
  • 身体的リスク(BMI、喫煙、血栓リスク、既往疾患)、ホルモン治療歴、既往手術歴、社会的状況を評価し、術前リスク管理(禁煙指導、血栓予防等)を行う

02. 精神科評価

  • 精神科医2名による独立診断を必須とする(DSM‑5/ICD‑11準拠)
  • 性別不合の持続性、機能障害、併存精神疾患、同意能力を評価し、必要に応じて臨床心理士による心理検査(IQ検査など)を追加する

03. ジェンダーカンファレンス(月1回 多職種カンファレンス)

  • 参加者:精神科医2名、泌尿器科、婦人科、形成外科、小児科、看護師、外部委員(法曹・倫理・他施設専門家)等
  • 検討事項:診断妥当性、術式選択、身体的リスク、術後支援計画、社会的配慮(就学・就労等)。議事録を作成し、決定理由を明確に残す

04. 形成外科評価と再協議

  • 皮弁選択、血管走行、既往手術の影響、術後機能(排尿・性感覚等)を詳細に評価し、形成外科所見をもって再度カンファレンスで最終合意を得る

05. 術前同意(段階的インフォームド・コンセント)

  • 皮弁選択、血管走行、既往手術の影響、術後機能(排尿・性感覚等)を詳細に評価し、形成外科所見をもって再度カンファレンスで最終合意を得る

対応可能な性別適合手術

当院では、公立病院として実施可能な範囲において、形成外科の専門性を活かしたジェンダーに関する手術を行っています。
※実施内容は、医学的判断および診察結果により異なります。

乳房切除術

乳房の垂れ下がりの程度や大きさにより、手術方法を選択します。

  1. 乳輪下半周切開法
    下垂が軽度であれば乳輪の周囲に沿って切開するので、傷あとは目立ちません。
  2. 乳房皮膚切除法
    乳房の垂れ下がりが強い、または大きい場合は、手術後の傷あとが目立つ場合があり、後日に修正手術が必要になることがあります。

乳頭形成は同時に行う場合、二期的に行う場合があります

尿道延長術(実施予定)

 

陰茎形成術を希望される方に必要な手術です。
皮弁で陰茎を作る際に(陰茎形成術)、陰茎の基部を男性の解剖学的位置に作るためには、女性の外尿道口(尿がでるところ)から前方に3cmほど尿道を延長することが必要です。
膣粘膜が尿道面になるように反転し(膣弁反転術)、膣弁を前方に牽引することで外尿道口が下方向から前方向に向きを変え、尿の出る方向が前方となります。

陰茎形成術(実施予定)

皮膚(皮弁)で陰茎を作るのが最もポピュラーです。
マイクロサージャリ―(顕微鏡下手術)により血管をつなぎ、皮膚を生きたまま移植します。
さらに神経を陰核の神経とつなぐことで、知覚や性感を得ることも可能です。
延長した尿道(尿道延長術)に移植皮弁をつなぐことで、尿道を同時に作り、立って排尿ができるようになります。
陰茎形成術には「遊離前腕皮弁」「有茎前大腿外側皮弁」「Combination phalloplasty」の3つの方法があります。

外陰部女性化術(実施予定)

外陰部の女性化手術では、膣をつくらない“会陰形成術”を希望される方も多くなっています。
膣形成術にくらべて低侵襲であり、合併症発症リスクは低くなります。
入院期間は、膣形成術と同じ2週間になります。

 

※既にホルモン治療を行っている方の性別適合手術は健康保険適用になりません。

手術料金について

当院では、ジェンダー治療に係る費用は全て自費診療で行っています。
また、円滑な診療及び会計手続きのため、手術・入院に伴う費用の一部を事前にお預かりするデポジット制(前払い制度)を導入しています。
詳細は下記注意事項等をご確認ください。

手術内容 預かり金額
① 乳輪下半周切開法+乳頭形成

①または②

120万円

※ 入院に係る部屋代および食事代を費用に含む

② 乳房切断術+乳輪乳頭移植術
③ 乳輪乳頭縮小術 25万円

 

その他の手術料金については、確定後に情報を追加いたします。

※当院では原則として事前にホルモン療法を受けていない方のSRSは実施していません。

 

【注意事項】

  • お支払いは銀行振り込みによる前払のみとさせていただきます(ゆうちょのご利用不可)。
    術前検査日の2週間前までに当院の指定口座にお振り込みください。(期限日が土日・祝日の場合は、その前の平日までにお振込みください。)
  • 期日までにお振り込みがない場合、キャンセルとなります。
  • お預かりした費用は、外来終診日をもって充当し、差額分については後日、振込にて返金させていただきます。
    なお、投薬や再手術などによって追加で費用が発生することがありますので、ご了承ください。
  • 万が一、術前検査の結果により手術が実施できないと判断した場合は、実施のみの検査に係る費用のみ自費請求させていただきます。
    なお預り金は、後日振込にて返金します。
  • 命に関わる合併症を発症した場合については、その時点で保険適用となります。

未成年患者への対応について

  • 未成年者(18歳未満)には本人のアセントと保護者の同意を原則とするが、当院では予定しておりません。
    なお、手術加療は原則18歳以上としております。
  • 二次性徴抑制療法やホルモン療法の適応・開始年齢・観察期間はガイドラインに準拠して運用するが、当院では実施しません。
  • 未成年に対する不可逆的外科的介入は特に慎重に評価し、ガイドラインの要件を満たした場合に限り実施するが、原則行う予定はありません。岡山市民病院で実施可能な治療は、条件を満たした上での、18歳以上の当事者に対する外科的手術(当院で実施する外科治療)に限定し、ホルモン療法や二次性徴抑制療法は当院の実施範囲外とする。

 

当院で18歳以上の当事者に実施する外科治療
  • 男性型胸壁形成術+乳頭縮小術
  • 陰茎形成術(Phalloplasty)(皮弁を用いる再建手術) ※実施予定
  • 外陰部女性化術および関連手術(排尿障害や、形態の改善の治療) ※実施予定
  • その他、形成外科領域における性別適合手術に該当する外科的処置

同意能力とインフォームドコンセント

  • 精神科2名の診断書を基礎とし、外科側でも段階的に理解度を確認する。説明は文書と口頭で複数回行い、理解度はチェックリストで記録します。
  • 判断能力に疑義がある場合は精神科で再評価を依頼し、必要に応じて心理検査や家族面談を追加依頼します。
  • 同意書には術式の不可逆性、合併症リスク、術後の生活上の留意点、保存生殖医療の選択肢(婦人科、泌尿器科での説明)を明記します。

よくある質問

Q:未成年ですが、手術を受けたいのですが・・・。

A:未成年(18歳未満)の手術は行う予定はありません。

ガイドラインを遵守しますので、18歳以上が手術加療の適応となる最低年齢となります。
また手術は、本人の社会生活へのストレスを軽減することを目的とし、「術後の精神的安定」と「性同一性の獲得を目的とする治療」とするため、親族からも同意を得る必要があります。

なお、当院で実施する外科的治療の範囲は下記の通り、手術加療のみとなります。

  • 男性型胸壁形成術+乳頭縮小術
  • 陰茎形成術(Phalloplasty)(皮弁を用いる再建手術)
  • 外陰部女性化術および関連手術(排尿障害や、形態の改善の治療)
  • その他、形成外科領域における性別適合手術に該当する外科的処置

 

Q:プライバシーは保護してもらえますか。

A:以下での運用を考慮しております。

【呼称・プライバシー保護】
受付・電子カルテに「希望呼称(Preferred name)」欄を設け、スタッフは原則として希望呼称で対応します。

 

Q:泌尿器科、精神科、婦人科の連携体制はどうなっているのでしょうか。

A:月1回オンラインでのジェンダーカンファレンスを開催しており、診療科間、外部との連携をとっています。

  • 診療は精神科・泌尿器科・婦人科・形成外科・麻酔科・看護が連携し、月1回の合同ジェンダーカンファレンスで症例検討と方針決定を行っています。
  • 合併症発生時は形成外科が主導し、必要に応じて症例経験のある関連科医師と迅速に連携するとともに、外部専門家(泌尿器再建、腸管再建)を定期的に招聘します。

主要連携先

岡山市立市民病院 形成外科(性別適合手術)、精神科(術前・術後の院内精神科対応)
岡山大学病院 精神科(精神科診断)、泌尿器科(泌尿器評価)、婦人科(婦人科評価)
さとうクリニック 精神科(地域精神科連携)
グッドライフ病院 泌尿器科
川崎医科大学 看護学科(看護教育・術後ケア研修)
行徳総合病院

形成外科

 

Q:社会生活支援(職場や家庭)に関する相談体制はあるでしょうか。

A:当事者が移行先の性別でやっていけるか、社会生活を実際に送る治療方法「RLE(Real Life Experience)」を、精神科が主導して行います。

【治療と判定】
泌尿器科や婦人科でのホルモン治療開始後、岡山大学病院精神科やさとうクリニックで職場や家庭での相談を受け、治療判定を行います。
判定方法は、診察と質問紙法によるQOL評価などを用いて行います。治療効果判定後、カンファレンスでの多職種判定を経て、手術加療などが適応となるかの判定を行います。

【社会生活支援とフォローアップ】

  • MSWが中心となり、職場・学校・家庭における調整支援、休職・復職支援、行政手続き案内、地域支援団体との連携を行います。
  • 退院後のフォローアップは術後1週、1か月、3か月、6か月、1年を標準とし、精神科と形成外科で対応し、必要に応じて地域連携窓口を通じた継続支援を行います。(対象は当院で手術を受けた患者(陰茎形成術、乳房切除術、外陰部女性化術、S状結腸造膣術等))