内視鏡検査を行う医師2名と看護師1名

vol.2 重要なのは「患者さんが検査を苦痛なく受けていただくこと」 消化器内科医師 加藤 博也

前回は胆道・膵臓(以下、胆膵)の働きや病気を中心にお話をお伺いしました。第2回は胆膵の内視鏡検査についてです。

患者さんの中には、内視鏡検査に対してネガティブな印象を持たれている方も多いのではないでしょうか。また、そういう患者さんに対して、どのような声をかけられますか。

内視鏡検査に対してネガティブな印象を持たれている方は多いと思います。苦しいことや痛いことはみんなしたくないですよね。ただ、今は鎮静剤があります。患者さんが不安がられても「大丈夫大丈夫、寝ているうちに終わるから」とお伝えしています。鎮静剤を用いて楽にできる方法はいろいろあります。
何より内視鏡が終わった後、患者さんが「しんどかった、二度とやりたくない」と思われるのはよくないですし、苦痛なくやるというのは大前提だと思います。

 

鎮静剤のお話を聞いて少し気が楽になりました。実は、内視鏡検査を経験したことがなくてですね。

それはもうぜひやってください!一度は!(笑顔)
ピロリ菌がいるかどうか、胃の中を見たら大体わかります。もう本当に運命が変わるぐらいなので、どんな若い方も確認していただくことをお勧めします。
特に、胃などに不調がある方は積極的に受けていただくことをお勧めします。20代の方々も積極的に内視鏡検査を受けていて、ピロリ菌自体を持っている方もずっと減ってきているんです。

笑顔でインタビューに応じる加藤先生(※撮影時のみマスクを外しています)

笑顔でインタビューに応じる加藤先生(※撮影時のみマスクを外しています)

 

胆膵の内視鏡検査は、胃や大腸の内視鏡検査と違いがあると聞いたのですが詳しく教えてください。

超音波内視鏡(EUS)


胃カメラや大腸カメラを用いて胆道や膵臓を直接見ることはできません。
胆道や膵臓は、十二指腸や胃から超音波を当てて観察します(EUS)。これは特殊なカメラで、胃カメラの内視鏡よりも1.5倍ほどの太さがあり、鎮静剤で完全に眠っている間に行います。
EUSは胆膵の疾患を見つけやすいということで有用視されています。お腹の皮膚、脂肪、筋肉、胃、その奥(胃の裏側)に膵臓があるため、通常の腹部超音波では詳細な観察がときに難しいです。

内視鏡カメラの比較

内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)


もう一つ、胆膵の内視鏡として重要なものにERCPがあります。ERCPは十二指腸にある胆管や膵管の出口に造影剤を注入して胆管や膵管の異常を見る検査です。それと同時に胆管や膵管の結石を除去したり、胆管や膵管に狭いところがある場合にチューブを入れて流れをよくすることができます。

 

内視鏡検査以外に胆膵の病気を見つけるための検査方法はあるのでしょうか。

MR胆管膵管撮影(MRCP)


MRCPは、内視鏡を用いずにMRI装置で胆のう・胆管・膵管を同時に抽出する検査です。定期的に検査を受けることで、胆管や膵管の状態の変化がわかり、病気の早期発見に役立つと思います。MRCPは1~2年に1回のペースで受けることをお勧めします。

腫瘍マーカー


また、腫瘍マーカーというものがあります。がん細胞の存在を示す目印(マーカー)となる物質が血液中にどれだけ含まれているかを調べます。がんを見つけるきっかけになるので、検診としてはよいと思います。ただ、腫瘍マーカーは診断や治療経過観察に有効ですが、あくまで参考程度とお考えください。
というのも、がん以外の疾患の影響で数値が高くなることがあるからで、腫瘍マーカーの数値が高くなっても、がんと診断されたわけではありません。もし腫瘍マーカーで高い数値が出た場合は、できるだけ早く身近な医療機関を受診し、医師に相談するようにしてください。

 

最後に、内視鏡検査は消化器のがんを見つけるのに有用とされています。「がんの早期発見が重要ということは理解しているけれど、内視鏡検査に抵抗がある」という方は少なくないと思います。そのような方々にメッセージがございましたら、お聞かせください。

「思ったほど怖くないよ」「思ったほどしんどくないよ」です。

がんという病気は、最初は全く症状がないんです。「無症状だから検査は必要ない」と思われている方もいらっしゃると思いますが、がんに関する症状が出てきた時には、ある程度がんが進行していることが多いということを理解してほしいと思います。がんは症状が出てから何かすればいいという病気ではない。検査をすれば命を落とさずに済むという方もいらっしゃいます。「ちょっと怖いけど、お医者さんが楽に検査してくれるって言うんだったら受けてみようかな」というふうに考えてもらえるといいかなと思います。
検査を受けてもらえるよう、啓蒙していくことも医師の仕事だと思っています。

内視鏡検査での結果を患者さんに伝える加藤先生

内視鏡検査での結果を患者さんに伝える加藤先生

 

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お話をお伺いしたのは・・・
岡山市立市民病院 消化器内科医師 加藤 博也(かとう ひろなり)