はじめに
新しい年を迎えまだまだ寒い日が続いていますが、皆さんいかがお過ごしでしょうか。
関節リウマチの患者さんでは様々な合併症が起こりやすいことが知られており、そのひとつに心血管イベント(狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患、脳梗塞や脳出血などの脳血管障害)があります。心血管イベントは血管の病変によって起こりますが、その最も大きな原因は糖尿病、高血圧、脂質異常症などの生活習慣病です。
今回は、糖尿病、脂質異常症、高血圧についてそれぞれ気をつけるポイントをご紹介します。
1.糖尿病
糖尿病の食事療法では、適正なエネルギー量で特定の栄養素に偏ることなくバランス良く食べることが大切です。まず、自分の目標体重から適正なエネルギー量を計算してみましょう。
適正なエネルギー量とは?
適正なエネルギー量=①目標体重×②エネルギー係数
<①目標体重>
65歳未満:「身長(m)」2×22
65~74歳:「身長(m)」2×22~25
75歳以上:「身長(m)」2×22~25※
※75歳以上の後期高齢者では現体重に基づき、フレイル、(基本的)ADL低下、併発症(重症低血糖、脳卒中、心筋梗塞等)、体組成、身長の短縮、摂食状況や代謝状態の評価を踏まえ、適宜判断する
<②エネルギー係数の目安>
軽い労作(大部分が座位の静的活動):25~30
普通の労作(座位中心だが通勤、家事、軽い運動を含む) :30~35
重い労作(力仕事、活発な運動習慣がある):35~
例えば、60歳、身長160㎝で座っていることが多いが、毎日家事をしている場合
①目標体重 ⇒ 1.6×1.6×22=56kg
②エネルギー係数 ⇒ 30~35
つまり、56kg×30~35=1,680~1,960kcal 程度が適正なエネルギー量になります。このエネルギー量を目安に、以下のことにも気をつけます。

食事のポイント
①主食、主菜、副菜が揃ったバランスの良い食事を
主食:ご飯、パン、麺など炭水化物を多く含む食品
主菜:肉、魚、卵、大豆製品などたんぱく質を多く含む食品を使った料理
副菜:野菜、海藻、きのこ類など食物繊維を多く含む食品を使った料理
②1日3食、できるだけ規則正しく食べる
食事の間隔を長くあけすぎると、次の食事の後に血糖値が上がりやすくなります。
食事は抜かずに、3食を規則正しい時間に食べるようにしましょう。
③食べる順番を意識する
ご飯やパンよりも先に野菜類や肉、魚などのおかずを食べることで血糖値の上昇を抑える働きがあります。
④ゆっくりよく噛んで食べる
ゆっくり食べることは食べ過ぎを防ぐだけではなく、インスリンの分泌とタイミングをうまく合わせることにもなり、血糖値を下げることにもつながります。
2.脂質異常症
脂質異常症の食事療法では、摂取エネルギー量や脂質、コレステロールを多く含む食品を抑え、魚や大豆製品は積極的にとります。

食事のポイント
①過食に注意し、適正な体重を維持する(糖尿病の項を参照)
②肉の脂身、動物脂(バター、ラードなど)、加工肉、鶏卵の大量摂取を控える
③魚の摂取を増やし、低脂肪乳製品を摂取する
④未精製穀類(玄米、麦ご飯、全粒粉パンなど) 、緑黄色野菜を含めた野菜、海藻、大豆および大豆製品、ナッツ類の摂取を増やす
⑤果物を適度に摂取し、果糖を含む加工食品(ジュースや菓子類)の大量摂取を控える
⑥アルコールは適量に(アルコール換算で25g/日以下)
目安:日本酒約1合またはビール500mlまたはワイン200ml
⑦食塩の摂取は6g/日 未満を目標にする
3.高血圧
高血圧の食事療法では減塩が重要になります。
1日の食塩摂取量の目標は6g未満です。

おいしく減塩するポイント
①麺類の汁は必ず残す(半分以上は残しましょう)
②汁物は1日1杯までにし、具だくさんにする
③加工食品(ちくわ、かまぼこ等の練り製品、ハム、ウインナーなど)は控えめにし、使用する場合は少量にする
④だし、酸味、香辛料、香味野菜などを利用する
⑤ドレッシング、醤油、ポン酢などは上からかけるのではなく、小皿に入れて使用する
減塩以外にも食べ過ぎない、アルコールを適量にする、食物繊維やカリウム(野菜や果物など)を積極的にとることも有効です。
※腎機能が低下している方はカリウムを控えないといけない場合があります。医師、管理栄養士にご相談ください。
関節リウマチには特別な食事療法はありません。合併症や生活習慣病などで食事に不安があるときは、管理栄養士による栄養相談をご利用ください。管理栄養士は医師の指示に基づき、患者さん個人個人に合った栄養サポートを行います。お気軽に主治医へお申し出ください。

おわりに
関節リウマチには特別な食事療法はありません。合併症や生活習慣病などで食事に不安があるときは、管理栄養士による栄養相談をご利用ください。管理栄養士は医師の指示に基づき、患者さん個人個人に合った栄養サポートを行います。お気軽に主治医へお申し出ください。
岡山市立市民病院 栄養科 川上 あや
参考文献
- メディカルレビュー社 糖尿病療養指導ガイドブック2024
- 日本病態栄養学会 病態栄養ガイドブック第7版
- 日本動脈硬化学会 動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版
- 日本高血圧学会 高血圧治療ガイドライン2025
- 厚生労働省 e-ヘルスネット
お話をお伺いしたのは・・・
岡山市立市民病院 栄養科 管理栄養士 川上 あや
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