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早期発見・早期治療がカギとなる大腸がん

外科 主任部長 佃 和憲(つくだ かずのり)先生に「大腸がん」について教えていただきました。

大腸がんとは、どのような病気で何が原因でなるのでしょうか?

大腸がんは消化管の中で大腸にできる悪性腫瘍です。2018年にはおよそ15.2万人が発症し、2020年には約5.1万人の方が亡くなられています。年々増加傾向にあり、肉食の増加、野菜摂取の減少など食事内容の変化が原因といわれています。

 

大腸がんを疑った方がいいのは、どのような症状のときなのでしょうか?

大腸がんの主な症状としては、便に血が混じる下血、便が出にくくなる、また逆に下痢になる便通障害といわれています。肛門から離れた部分にできる場合は、お腹のしこりが初発症状のことがあります。症状が出る場合は進行している可能性があります。

 

大腸がんが見つかった場合、どのような治療になるのでしょうか?

手術、化学療法(抗がん剤)、放射線治療を組み合わせた集学的治療が行われますが、物理的に切除する方法である手術に勝る治療はありません。ごく早期に発見されたものであれば、大腸カメラで切除され治る可能性があります。

 

集学的治療や手術を受ければ治るのでしょうか?

現在、抗がん剤や免疫を活発化させる薬が開発されていますが、進行がん、特に他の部位へ転移が始まったがんに関しては完全に治ることは難しいといえます。大腸がんの集学的治療では、いろいろな科と協力して根治手術(がんを完全に取り切った手術)に持ち込みますが、やはり再発してしまうことが多いようです。翻って考えると、なるべく早期に発見するに勝ることはないのが現状です。

 

大腸がんの予防には1次予防と2次予防があるそうですが、まず1次予防のポイントについて教えてください。

1次予防は「がんにならないように予防すること」です。肉食を控え、野菜をなるべく摂取すること、定期的な運動をすることが勧められています。

 

では2次予防についてポイントを教えてください。

2次予防は「早期に発見してより重症化することを防ぐこと」です。現在のところ、大腸カメラにより早期発見するしかありません。

 

検診や人間ドックでみつかることもあるのでしょうか?

大腸がん検診や人間ドックでは便の潜血検査を行っており、早期発見のきっかけになることは多いといえます。

 

健康的な生活を送りながら定期的に検査を受けることが、予防になるということですね。

新たな治療法が出てきてはいますが、主として進行し治癒が困難なものが対象となっています。大腸がんの治療は進歩していますが、治癒するためにはやはり早期発見・早期治療が重要であるといえます。

 

※役職は掲載時のものです。変更になっている場合がありますがご了承ください。