アイキャッチ_リウマチ教室

第318回 関節リウマチの画像検査

関節リウマチの診療ではレントゲン検査を始めとした様々な画像検査を行いますが、これらはリウマチを正しく診断し、治療方法を決定し、病気の状態を把握したりするために必要な検査です。各検査方法について少し詳しく知っておくと、関節リウマチの治療方針を理解するために役立つでしょう。

 

1.レントゲン検査

X線を使って体の「影絵」をみる検査です。

放射線は日光よりも遥かに強く体を透かして見ることが出来るため、骨の内部構造まで見えるという仕組みです。古典的な検査ですが、皆さんが使っているデジカメと同様に画質は大変良くなっているので、骨の構造を細かく見るためには今でも優れた検査と言えます(最も解像度が高い)。その他にも、検査にかかる時間短く検査費用も比較的安いため、繰り返して検査をしたり複数の場所を検査することが容易なのもメリットです。

関節リウマチでは関節炎の結果起こってしまう 関節破壊(骨が溶ける骨びらん)や変形の原因となる関節の脱臼などが無いか確認するために行います。合併症や副作用の有無を確認するための肺のレントゲン検査と合わせて、調子が良くても年に1回は手足や関節痛がある部位のレントゲン検査は受けるようにしましょう。

画像:レントゲン検査で確認される小さな骨びらん

レントゲン検査で
確認される小さな骨びらん

2.CT

レントゲンと同じくX線を使用します、体の周囲全方向から撮影した画像を合成することで、3次元的に体の断面を映像化することが出来る検査です。リウマチの治療では主に肺や内臓にリウマチの炎症や治療の副作用が起こっていないかどうかを確認するために使われます。

その他に関節・脊椎の変形を詳しく調べたり、手足の腱の状態を確認したりするためにも行うことがあります。放射線被ばく量がやや多くなるため回数をある程度制限して行います。

画像:CT検査

3.MRI

強力な磁器により体の中の水素原子を振動させて、そこから発せられる電磁波を測定することで体内を画像化する検査です。放射線を使わず、体の中の構造とその性質まで詳しく見ることが出来るため、精密検査として限られた回数、検査部位を絞って行われます。関節リウマチでは、主に関節の炎症の有無を調べるために使用します。

とくにMRI用の造影剤を使用することでより正確に炎症の広がりを画像化することができます。
また、骨の中の炎症(骨髄浮腫)を見ることができるのはMRI検査だけです。

また、骨以外の軟部組織(筋肉や靭帯など)も詳しく画像化できます。ただし検査には30分以上かかる場合もあり、頻回・複数の場所を検査することには不向きです(予約もなかなか取れません・・・)。MRIに対応していない体内医療機器・インプラントが入っている方や閉所恐怖症の方は検査を受けることができません。

画像:MRI画像で確認される骨髄浮腫(左)と多発している関節の炎症(右)

MRI画像で確認される骨髄浮腫(左)と 多発している関節の炎症(右)

 

4.エコー(超音波検査)

人間の耳には聞こえない周波数の音波(超音波)を体内に照射して、その反射を測定することで体内の構造を画像化する検査です。妊婦健診で赤ちゃんの姿を見るのに使われる検査と同じですが、関節リウマチでは主に関節や腱の周囲の腫れ(滑膜炎)を見るのに使います。

以前は診察の際に手で触って「腫れているか」「押したら痛いか」ということでしか推定できなかった関節の炎症が、エコー検査を行うことで診察室でも直接画像化して確認することができるようになりました。検査も安価で、身体への害もほぼ無いため、関節リウマチ診療で急速に普及しました。痛みを感じた際に「それがリウマチの炎症によるものかどうか」を簡易的に判別する方法として外来で使用されています。

画像:エコー検査で確認できる滑膜炎の血流

エコー検査で確認できる滑膜炎の血流

 

よくある質問

レントゲンよりもMRIが良い検査?

「とりあえずMRIを取って調べてほしい」というご希望をよく聞きます。MRIは放射線被ばくも無く、関節の状態・性質を見るための優れた検査方法ですが、万能ではありません。

むしろ、画像の解像度は撮影範囲を少し広げると大幅に低下するため、検査する対象によってはかえって結果が分かりにくいなどのデメリットもあります。例えば細かく骨の構造を見たい時にはレントゲンの方がはるかに優れていたりします。目的によって使い分けることが大切です。

 

放射線被ばくが心配です・・・
大丈夫でしょうか?

もちろん、不必要な放射線被ばくには害がありますが、たとえば1回のレントゲン検査でうける被ばく量で、実際に病期になる確率が上がってしまうことを心配する必要はありません(国際線の飛行機に1回乗る程度の被ばく量と言われています) 。

CT検査では被ばく量がやや多くなるため、将来の発がん率などにごくわずかに影響することが知られていますが、CT検査を受けることで重要な合併症の有無を確認したりすることも出来るため、そのメリットの方が大きく勝ると判断した場合にのみ行われています。不安な場合は、「検査に害があるかどうか」ではなく、「なぜその検査が必要なのか」を確認してみるとよいでしょう。

岡山市立市民病院 整形外科/リウマチセンター 那須 義久

お話をお伺いしたのは・・・
岡山市立市民病院 整形外科/リウマチセンター 那須 義久

 

市民病院で20年以上にわたり行ってきたリウマチ教室。新型コロナウイルスの影響により、2020年7月よりWeb版・瓦版(院内での資料配布および掲示)と形態を変え、皆様のリウマチ療養にお役立ていただくべく、引き続き情報を発信しております。

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