アイキャッチ_リウマチ教室

第307回 今の季節に気をつけたいポイント

はじめに

皆さんは天気が悪い、気温が低いなどの条件で関節が痛くなる、朝のこわばる時間が長くなるといった経験はないですか?リウマチの痛みや体調は気候の変化に影響されやすいと言われています。そこで今回はリウマチと気温・気圧の変化による症状の関係、日常生活でのポイントについてご紹介したいと思います。

 

1.なぜ気温や気圧の変化で症状がちがうの?

春は短い周期で高気圧と低気圧が交互に入れ替わることが痛みに影響します。気圧が急激に低下すると、身体の中ではヒスタミンが分泌され身体が気圧の変化を外部刺激と捉えているのではないかと考えられています。ヒスタミンによって交感神経が刺激されると、血管が収縮してしまって血行が悪くなり、関節リウマチの痛みが出やすくなります。

またヒスタミンが交感神経を刺激することで、痛みそのものを感じやすくなります。寒暖差は春の暖かくなっていくとき、夏の暑いとき、秋の寒くなっていくとき、それぞれの時期にありますが、気温差が7℃以上と大きいときに起こりやすい寒暖差疲労では、体温を調節する自律神経が過剰に働いてしまい、全身倦怠感、頭痛、肩こりなど様々な症状が出てしまいます。

 

2.寒暖差が激しいこの時期に日常生活で気をつけることは?

よく睡眠をとってストレスを溜めない

よい睡眠をとるコツは早起きして昼間十分に活動し、夜も早めに就寝することです。体内時計が乱れると睡眠の質が低下し、合併症の発症にも影響します。38~40度のぬるま湯にゆっくりと浸かり、自律神経を整えることも質のよい睡眠をとることにつながります。

また趣味やリラックスできる時間をつくりストレスを解消していきましょう。なおストレス解消目的でも喫煙は厳禁です。たばこはニコチンをはじめタールや一酸化炭素など、多くの有害物質が含まれており、治療効果を下げてしまうだけでなく肺や脳、心疾患などのリスクも高まるので止めましょう。画像:質のよい睡眠

しっかりと食べて定期的な運動を

関節リウマチの患者さんは骨の密度が低下する骨粗鬆症にかかりやすくなっています。炎症の刺激で破骨細胞が過剰に働いてしまい、さらにステロイドの長期的使用で破骨細胞が活発になるためです。食事は骨の材料となるカルシウム、ビタミンD、ビタミンKが豊富な食材を取り入れたり、バランスよく適量とることを心がけましょう。

体重をコントロールすることで関節の負担の軽減にもつながります。一方で、やせ過ぎてしまうと身体の抵抗力が落ち感染症にかかりやすくなるだけでなく、常に新陳代謝をおこなっている骨にとってもよくありません。

適度な運動は関節のために可動域と筋肉量を保つことだけでなく体力をおとさないために必要です。太陽の光を浴びながらのウォーキングは、骨の生成に必要なビタミンDの生成に役立ちます。

画像:栄養と運動

感染症に注意する

薬物療法で使うステロイド、抗リウマチ薬や生物学的製剤は免疫機能を抑える作用があります。そのため風邪や流行する病気に気をつけなければなりません。健康な人なら軽症で済む程度の感染症でも、免疫機能を抑えている患者さんには致命的となりかねません。

季節的に流行するインフルエンザに対しては、流行前のワクチン接種で発病の可能性を減らすことが期待できます。65歳以上の患者さんには肺炎球菌ワクチンや帯状疱疹ワクチンも推奨されます。

画像:感染症

 

さいごに

関節リウマチでは、病気と長期的に付き合う気持ちを持つことが大切です。薬物療法により症状がコントロールできるようになっても、基本的に薬を使い続けなければなりません。「良くなった」からといって、自己判断で薬を止めてしまうと症状がぶり返したり、気がつかないうちに関節の破壊が進んでしまいます。一見症状が落ち着いているようでも、定期的に検査を受け、チェックすることでいち早く発見し対処できるのです。

岡山市立市民病院 看護部 水田 由紀

 

お話をお伺いしたのは・・・
岡山市立市民病院 看護部 水田 由紀

 

市民病院で20年以上にわたり行ってきたリウマチ教室。新型コロナウイルスの影響により、2020年7月よりWeb版・瓦版(院内での資料配布および掲示)と形態を変え、皆様のリウマチ療養にお役立ていただくべく、引き続き情報を発信しております。

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