市民病院で20年以上にわたり行ってきたリウマチ教室。新型コロナウイルスの影響により、2020年7月よりWeb版・瓦版(院内での資料配布および掲示)と形態を変え、皆様のリウマチ療養にお役立ていただくべく、引き続き情報を発信しております。
※更新日が古いものは最新の知見と異なる場合がありますのでご注意ください。
第271回リウマチ教室 関節リウマチと上手くつきあうために
解説:岡山市立市民病院 看護師 岩藤 翔
立夏を過ぎましたが、まだ春の名残りが感じられる昨今です。風薫る五月、皆様にはますますご清栄のことと存じます。
関節リウマチは関節の痛みで気象の変化が当てることができると言われているように、気象の変化に対して敏感に反応する気象病の一つです。
症状に影響する要因としては気圧の低下と湿度の上昇が同時に起こった時に増悪を強く訴えることが知られています。季節の変わり目や天候の影響を受けやすく、特に梅雨の時期と冬に悪化している方が多いようです。
もうすぐ6月から7月にかけての梅雨の時期であり、関節リウマチの方々には辛い時期です。さらに、リウマチ治療中の方はコロナウイルス感染症に対する不安も少なからずあると思います。
過去にリウマチ教室を受講されたことがある方は、ご存知の内容もあるかもしれませんが、今回の受講では、感染症対策の復習と皆様がなるべく安楽に過ごせるような疼痛緩和方法や睡眠確保の方法などの内容になっております。参考にして頂けたら幸いです。
より良い毎日を過ごすために気をつけたい5つのこと
1.感染予防について
治療薬としてリウマチに対する抗リウマチ薬、生物学的製剤、ステロイド薬、免疫抑制薬を内服や点滴をされている方が多いと思います。現時点では持病にリウマチを持たれている方が新型コロナウイルス感染症にかかりやすいという結果は出ていません。
ここで大事なのはコロナウイルス感染症に対する不安はあると思いますが、リウマチに対するお薬を自己判断で中断しないことです。もし、お薬で不安なことがあればまずかかりつけの主治医に相談してください。現在行われているリウマチの治療は自己中断ができないため、感染する危険性を下げることが大事であり、皆さんに行ってほしいことは感染症対策を徹底することです。
感染症対策として、外出後の手洗いとうがいを忘れないこと、3密を避けること、外出時のマスク着用を継続して行ってください。マスク着用により口渇感を感じにくくなりますので、脱水に注意が必要です。特にメトトレキサート内服中の方は脱水により副作用の腎障害をしてしまう可能性もあるため、こまめな水分摂取が必要です。
2.疼痛緩和について
症状が強いときは安静にすることと関節の保護が重要になってきます。
しかし、安静にしていてもどうしても関節が痛むことはあると思います 。ここでは、関節痛に対しての対処方法をいくつか紹介します。まずは痛む部位に熱感があるかを確認してみましょう 。
熱感が無ければ関節は冷やすことなく、温めることが良いとされます。そのため、お風呂は シャワーだけではなく入浴をするのがお勧めです。お湯はぬるめの38~40度で、体調不良でなければ10~20分浸かるのが良いです。
肘や膝を温める効果のあるサポーターを使われるのも良いとされています 。ホットパックや温水を吸水させたタオルを患部に当てるのも良いです。ただし、関節に触れた時に熱があり、腫れているようであれば冷やした方が良いでしょう。
3.こわばりが強い場合
関節リウマチは関節に慢性的な炎症が起こる病気です。
慢性的な炎症により関節腔内に水が溜まり、痛みと動かしづらさが生じ、こわばりが出てきます。こわばりが強い場合は、関節を動かすことで関節腔内の溜まった水が一時的には減り、腫れの軽減と痛みの緩和に繋がります。ただし、痛みが強い時は無理は禁物です 。
4.睡眠について
血行を良くしてから眠れる体づくりをするのが大事です。血行が悪いと体温調整がうまくいかず、睡眠中の疲労回復もしにくくなります。
◇入浴で血行促進
38~40度のお湯で10~20分浸かり、血行促進を促進します。
◇深呼吸で血行促進
深呼吸すると毛細血管まで血液がいきわたります。
4秒間息を吸って、同じく4秒かけて吐きます。無理のない程度の回数をリラックスして行います
◇眠る前の足裏ケア
眠りにくい時は足裏のストレッチが良いとされています。血液の折り返し地点である足裏をほぐすと血行が改善されます。
まずは、足裏中央をアーチを作るようにぐっと押して、足の親指と小指を内側へ折りたたむように曲げます。足の親指と小指を外側へ広げます。この動きを何度か繰り返してください。保湿効果のあるローションを塗り、皮膚をケアしながら行うとよいでしょう。
足の痛みがある方は医師に相談して、足の親指から小指にかけてアーチを保護するサポーターなどを使ってみるのもよいでしょう。
◇眠るときの姿勢
眠る時の姿勢は直立姿勢が良いとされます。寝てみた時に体のどの部分にも床の硬さを感じず、直立時と同じ姿勢を保てるのが理想です。
寝てみた時に直立姿勢ではどうしても痛みがあるようであればマットレスの変更を検討してもよい
でしょう。横向き、膝がくの字になっている、立膝しているような姿勢は避けましょう。
5.環境面について
生活面では通気性の良い、ゆったりとした服を着用し 、特に部屋の風通しを良くして湿気の滞らないようにしてください 。湿気が多い時はエアコンのドライ機能を使うのも良いですが、喉の乾燥には注意が必要です。
参考文献
1. 一般社団法人 日本リウマチ学会 https://www.ryumachi-jp.com
2. 日本イーライリリー株式会社 リウマチェンジ https://www.lilly-ra.jp