救急科医師_濱崎 健太郎

熱中症について

救急科 副医長 濱崎 健太郎先生に熱中症について聞きました。
救急科 医師 濱崎健太郎

はじめに

夏も終盤に差し掛かっていますが、熱中症についてお話しします。日本は残暑厳しい風土で、9月に入っても例年熱中症患者さんが搬送されます。まだまだ暑い日々が続くと思われますし、来年も夏は訪れます。ここで一度、熱中症についてお話ししたいと思います。

 

熱中症になるとどんな症状が出るのでしょうか。

熱中症はⅠ~Ⅲの重症度で区分されます(表1)。

熱中症の症状と重症度

表1

 

熱中症はどのような環境で生じやすいのでしょうか。

気温が高いだけでなく、湿度が高い、風通しが悪い、日差しが強い、照り返しが強い、などの環境で熱中症になりやすいです。真夏の窓を閉め切った車内などを意識していただけるとわかりやすいと思います。
暑さ指数(Wet Bulb Globe Temperature:WBGT)があり、こちらが高ければ高いほど熱中症になりやすいです。普段、自分で測定できればいいのですが、気温、湿度、日射・輻射(ふくしゃ)、風などを計測する特殊な機械が必要です。環境省が管理している熱中症予防情報サイトに各市町村の暑さ指数を出していますので参考にしやすいと思います。

 

熱中症になりやすい方はどのような方ですか。

脱水状態にある方、高齢者、乳幼児、体に障害のある方、肥満の方、過度に衣服を着ている方、運動習慣がない方、暑さに慣れていない方、体調が悪い方が熱中症になりやすいです。

 

熱中症にならないために個人でできることはありますか。

  • クールビズを積極的に勧める
  • ホームページなどで暑さ指数を確認し、涼しい室内で過ごす
  • 暑い時間帯の外出を避け、朝方など比較的涼しい時間帯を中心に買い物などの活動をする
  • 電解質を含んだスポーツドリンクをこまめに摂取し、脱水にならないよう注意する

 

熱中症になったとき、どんな症状があれば病院を受診した方が良いでしょうか。

  • 意識障害があったり、けいれんを起こしている場合
  • 経口で水分摂取できない場合
  • 発汗なく発熱がどんどん上昇する場合

上記の症状が出ている場合は、緊急性が高く救急車で緊急で搬送する必要があります。

また、高齢者・乳幼児共に重症化リスクが高く、症状が軽度に見えても油断は禁物です。
高齢者は、暑さや喉の渇きを感じにくくなっていることから、熱中症になりやすい傾向にあります。
乳幼児は、元々の体の中の水分量が多いため脱水を起こしやすい傾向にあります。
症状が軽度の場合でも悪化傾向あれば早めの受診が大切です。

 

経口補水液は個人でも作ることはできますか。

買って飲むのが簡単ですが、割高です。自宅で割と簡単に作ることができますよ。私が色々試した中で最も飲みやすく、おすすめするレシピを特別にお教えします。

手作り経口補水液レシピ
ハーブが嫌いでなければ、加えてスペアミントなどもたくさん入れて冷蔵庫で冷やして飲んでも爽やかでいいと思います。

 

熱中症治療に携わり苦労した経験などはありますか。

倉敷市真備町の集中豪雨が起きた時に、沢山のボランティアの方が熱中症になり、若い方でも意識障害やけいれんなどを起こし、重篤な後遺症になった方を目の当たりにしました。
ボランティアはとても尊いことですが、通常、会社などデスクワークが中心で、暑さに慣れてない方がボランティアに行かれる際は、無理は禁物です。自分が患者さんにならないようにボランティア活動中は、休憩を挟みながら塩分補給・飲水をこまめに行い、風通しの良い環境で作業を行いましょう。

熱中症に興味が湧いてさらに情報が知りたい方は、環境省が管理している熱中症予防情報サイトに「熱中症環境保健マニュアル2022」が掲載されていますので、ご確認ください。

 

関連リンク

 

お話をお伺いしたのは・・・
岡山市立市民病院 救急科 副医長 濱崎 健太郎(はまさき けんたろう)

 

※役職は掲載時のものです。変更になっている場合がありますがご了承ください。