アイキャッチ_リウマチ教室

関節リウマチと合併症による食事療法

疾患に対する食事療法5つの例

1.糖尿病

糖尿病の食事療法は、適正なエネルギー量で栄養素をバランス良く摂取すること、規則正しい食習慣を身に付けることが重要となります。
まず自分の適正体重から見合った摂取エネルギー量を設定します。

〈摂取エネルギー量の目安の計算方法〉
摂取エネルギー量=①目標体重×②エネルギー係数
①目標体重=身長(m)×身長(m)×22~25*
②エネルギー係数(kcal/㎏目標体重)=25~30 軽い労作(大部分が座位の静的活動)
30~35 普通の労作(座位中心だが通勤、家事、軽い運動を含む)
35~ 重い労作(力仕事、活発な運動習慣がある)

*65歳未満:身長(m)×身長(m)×22
前期高齢者(65~74歳):身長(m)×身長(m)×22~25
後期高齢者(75歳以上) :身長(m)×身長(m)×22~25
(現体重に基づき、フレイル、(基本的)ADL低下、合併症、体組成、身長の短縮、摂食状況や代謝状態の評価を踏まえ、適宜判断する)
日本糖尿病学会:糖尿病治療ガイド2022~2023より引用

次に設定した摂取エネルギー量の範囲内で以下の内容に気を付けていきましょう。

  • 腹八分目までにしましょう
  • 食品の種類はできるだけ多くしましょう
  • 穀類、野菜、肉、魚、卵、大豆製品、乳製品、果物などから1日30品目以上を目標に食べましょう
  • 動物性脂質は控えめにしましょう
  • 食物繊維を多く含む食品(野菜、海藻類、きのこ類など)をとりましょう
  •  1日3食規則正しく食べましょう
  • ゆっくりよくかんで食べましょう
  • 糖質を多く含む食品の間食を避けましょう

 

2.脂質異常症

脂質異常症の食事療法は、摂取エネルギー量を抑え、いろいろな食品をバランスよくとることです。魚や大豆製品などは、積極的にとりたい食品です。以下のポイントにも注意しましょう。

  • 過食を抑え、目標体重を維持しましょう
  • 肉の脂身、牛脂、バター、ラード、乳製品の摂取を抑え、魚、大豆の摂取を増やしましょう
  • 野菜、海藻、きのこの摂取を増やし、果物を適度に摂取しましょう
  • 食塩を多く含む食品の摂取を控えましょう
  • アルコールは適量の範囲を守りましょう
  • エタノール換算で男性20~30ml/日(目安:日本酒約1合orビール500mlorワイン1/3本orウイスキーシングル2杯)、女性10~20ml/日

 

3.肥満症

肥満症とは肥満とよく似た言葉ですが、別のものとして扱われます。肥満とは脂肪組織に脂肪が過剰に蓄積した状態です。BMI(体格指数)が25㎏/㎡以上の状態で、健康上の問題の有無は問いません。

一方、肥満症とは肥満に起因ないし関連する健康障害やそのリスクがみられる病気であり、治療が必要となります。肥満症の食事療法は糖尿病、脂質異常症の食事療法に準じています。目標体重の設定を行い前述の食事療法を参考にして下さい。

 

4.高血圧症

血圧症の食事療法は減塩食が基本です。肥満がある場合は、減量するだけで血圧が下がることも多いので、適正なエネルギーの摂取を心がけましょう。

  • 食塩摂取量は1日6g未満を目標にしましょう
    〈おいしく減塩する方法〉
    ①汁物は1日1杯以下にして具だくさんにしましょう
    ②麺類はできるだけ汁を残すようにしましょう
    ③加工食品(練り製品、ハム、ソーセージなど)の使用をなるべく避けて、新鮮な素材を用いましょう
    ④酸味、香辛料、旨味(出汁)を利用して味付けをしましょう
    ⑤調理時に下味は付けずに、食べる直前に味付けをしましょう
    ⑥醤油やソース、ドレッシングなどはかけるのではなく、小皿にとってつけて食べましょう
  • 食物繊維やカリウム(野菜や果物など)を十分とりましょう
    ※腎機能が低下している方は、カリウムを控える必要があります。医師・管理栄養士にご相談下さい。
  • アルコールの過剰摂取を控えましょう
  • 食べ過ぎないように注意しましょう

 

5.骨粗鬆症

粗鬆症の食事療法は、適切な栄養素をバランス良く摂取し、カルシウムやビタミンD、Kの十分な摂取が必要です。また過剰摂取を避けた方が良い食品もあります。

推奨される食品

  • カルシウムを多く含む食品:牛乳、乳製品、小魚、緑黄色野菜、大豆、大豆製品
  • ビタミンDを多く含む食品:魚類、きのこ類
  • ビタミンKを多く含む食品:納豆、緑黄色野菜
  • たんぱく質:肉、魚、卵、牛乳、乳製品など

 

過剰摂取を避けた方が良い食品

  • リンを多く含む食品:加工食品、一部の清涼飲料水
  • 食塩
  • カフェインを多く含む食品:コーヒー、紅茶
  • アルコール

以上、各疾患の食事療法についてご紹介しました。
管理栄養士は医師の指示に基づき、患者さんの日常生活や背景などいろいろな情報をもとに、個人個人に合った栄養指導を行っています。ご希望の方は、お気軽に主治医へご相談下さい。

出典および参考Webサイト

1. メディカルレビュー社:糖尿病療養指導ガイドブック2021
2. 日本糖尿病学会:糖尿病治療ガイド2022~2023
3. 中村丁次:栄養食事療法必携 第4版 医歯薬出版株式会社.2020
4. 日本病態栄養学会:病態栄養ガイドブック 第6版

 

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