市民病院で20年以上にわたり行ってきたリウマチ教室。新型コロナウイルスの影響により、2020年7月よりWeb版・瓦版(院内での資料配布および掲示)と形態を変え、皆様のリウマチ療養にお役立ていただくべく、引き続き情報を発信しております。
※更新日が古いものは最新の知見と異なる場合がありますのでご注意ください。
第274回リウマチ教室 新型コロナウイルス感染症対策を踏まえた熱中症予防のポイント
解説:岡山市立市民病院整形外来 登録リウマチケア看護師 瀬尾 美恵子
「熱中症」は、高温多湿な環境にいることで、徐々に体内の水分や塩分のバランスが崩れ、体温調節機能がうまく働かなくなり、体内に熱がこもった状態を指します。屋外だけでなく屋内で何もしていないときでも発症し、救急搬送となることや、場合によっては死亡することもあります。
今夏も熱中症予防と合わせ、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために引き続き、基本的な感染対策を継続する必要があることから、新型コロナウイルス感染症対策を踏まえた熱中症予防のポイントをまとめました。そして熱中症警戒アラート発表時の予防行動についてもご紹介いたします。
熱中症予防5つのポイント
1.マスクについて
マスクは飛沫の拡散防止に効果がある一方で、高温・多湿な環境では、熱中症のリスクが高くなります。
熱中症を防ぐために、近距離(2メートル以内を目安)で会話するような場合を除いて、屋外ではマスクをはずしましょう。例えば、徒歩や自転車での通勤・通学時や、散歩やランニングといった運動時など、屋外での活動においては、マスクをはずしましょう。
屋内においてもエアコン、扇風機や換気により暑さを避けながら、感染症対策をお願いします。屋内でも人との距離が確保できて、会話をほとんど行わない場合は、マスクを着ける必要はありません。
2.エアコンの使用について
熱中症予防のためにはエアコンの活用が有効です。
ただし、一般的な家庭用エアコンは、空気を循環させるだけで換気は行っていません。新型コロナウイルス対策のためには、冷房時でも窓開放や換気扇によって換気を行う必要があります。換気により室内温度が高くなりがちなので、エアコンの温度設定を下げるなどの調整をしましょう。
3.涼しい場所への移動について
少しでも体調に異変を感じたら、速やかに涼しい場所に移動しましょう。エアコンが効いている室内や、風通しの良い日陰など、涼しい場所に移動してください。
暑い時間帯の外出は避け、日傘や帽子の着用、涼しい服装を心がけましょう。
4.水分補給について
屋内でも外出時でも、のどの渇きを感じていなくてもこまめに水分補給をしましょう。1日あたり1.2リットル(コップ約6杯分)を目安に、入浴前後や起床後などに、水分補給をしてください。大量に汗をかいた時は、塩分も忘れずにとりましょう。
5.日ごろの健康管理について
毎朝など、定時の体温測定や健康チェックを行い、日ごろからご自身の身体を知り、体調管理をしましょう。平熱を知っておくことで、発熱に早く気づくこともできます。体調が悪いと感じた時は、無理をせず自宅で静養するようにしましょう。
熱中症警戒アラート発表時の予防行動
熱中症アラートは、
熱中症の危険性が極めて高いと予想される日の
前日夕方または当日早朝に県から発表されます。
1)エアコンを適切に使用しましょう
- 昼夜問わずエアコン等を使用して温度調節をしましょう。
2)外出はできるだけ控え、暑さを避けましょう
- 熱中症を予防するためには暑さを避けることが最も重要です。
- 不要不急の外出はできるだけ控えましょう。
3)熱中症のリスクが高い方に声をかけましょう
- 高齢者、子供、持病のある方、肥満の方、障害のある方等は熱中症に罹りやすい方々です。身近な方から、夜間を含むエアコンの使用やこまめな水分補給等を行うよう、声をかけましょう。
4)外での運動は、原則、中止または延期をしましょう
- 身のまわりの暑さ指数(WBGT)に応じて屋外やエアコン等が設置されていない屋内での運動は、原則、中止や延期をしましょう。
5)普段以上に「熱中症予防行動」を実施しましょう
- 喉が渇く前にこまめに水分補強しましょう。(1日あたり1.2ℓが目安です)
屋外で人と十分な距離(2m以上)を確保できる場合は適宜マスクをはずしましょう。 - 涼しい服装にしましょう。
6)暑さ指数(WBGT)を確認しましょう
- 環境省熱中症予防情報サイト等で確認できます。
出典および参考Webサイト
厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_coronanettyuu.html
環境省熱中症予防情報サイト https://www.wbgt.env.go.jp/heatillness_pr.php