アイキャッチ_リウマチ教室

第286回 関節リウマチと口腔ケア

②口腔乾燥症

口腔乾燥症は唾液の分泌低下・抑制によるものであり、原因として、加齢、ストレス、食習慣、唾液腺障害、全身疾患(シェーグレン症候群)、薬剤の副作用などがあります。また、関節リウマチの患者さんの約2割はシェーグレン症候群を併発しており、慢性唾液腺炎や乾燥性角結膜炎などの乾燥症状が現れます。関節痛のために鎮痛薬を服用しながら様々なストレスを抱えていたりと、考えられる原因が重複していることが多く、日常生活の不自由さやストレスを訴えることも多いです。

 

③薬物による易感染状態

関節リウマチに用いられる薬は、

  1. 非ステロイド性抗炎症薬
  2. 副腎皮質ステロイド薬
  3. 抗リウマチ薬

の3つに大きく分類できます。そのうち、抗リウマチ薬の1つである免疫抑制薬メトトレキサート、生物学的製剤はよく用いられます。

また、痛みや腫れなどの関節症状に対して即効性があるステロイドも使用されることが多いです。これらの治療薬は高い効果がみられる一方で、正常な免疫反応を抑える作用もあるため、細菌・ウイルスによる重篤な感染症が発生しやすくなり、結核・肺炎・口腔感染症に容易に感染しやすくなる易感染状態となるので注意が必要です。

 

口腔ケアについて

自分に合った歯ブラシを選択することが大事!

  • 歯肉が赤く出血しやすい場合は柔らかい歯ブラシがおすすめです。
  • 口が小さい、大きな口を開けられない、歯の並びがでこぼこしている、嘔吐反射が強い方は小さめの歯ブラシが適切です。
  • 歯ブラシが握りにくい、動かしにくい場合は歯ブラシの柄を太くしたり、歯ブラシを保持しているだけで植毛部が自動的に動く電動ブラシもおすすめです。
  • 歯と歯の間に食物がよく挟まる方はデンタルフロスや歯間ブラシの使用が効果的です。
  • ワンタフトブラシ(通称1歯ブラシ)と呼ばれる消耗部がとても小さい歯ブラシは奥歯の後方の歯垢の除去がしやすいです。

口腔ケアについて_歯ブラシ

 

 

歯磨き法

  • 歯ブラシで特に歯垢がたまりやすい歯と歯ぐきの境目に歯ブラシの毛先が当たるように磨きます。
  • ブラシの毛先の形が変わらない程度の優しい力で磨きます。
  • 大きく動かすのではなく、1本ずつ磨くことを心掛けましょう。
  • 歯並びが悪い所や孤立歯は磨き残しが起こりやすいので注意が必要です。
歯磨きの角度

 

 

入れ歯の手入れ

歯ブラシを使用して流水下で清掃します。清潔に保つためには入れ歯洗浄剤が有効です。清掃時には歯を磨く用の歯磨き粉の使用は控え、入れ歯専用の洗剤を使用しましょう。

関節に痛みを感じている時には歯磨きをするのが億劫になることや、磨いていても細かいところを磨き残してしまうことがあります。セルフケアの工夫も大切ですが、かかりつけ歯科を定期的に受診し、口腔内の清掃とチェックをしてもらうことも重要です。口腔内を清潔に保つことと、異変への早期発見と対応をすることで、いつまでも口腔内を健康に保つようにしましょう!

 

参考資料

  • 村澤 章、元木 絵美 リウマチ看護パーフェクトマニュアル.2013
  • 中原 英子他 関節リウマチ看護ガイドブック.2019

 

お話をお伺いしたのは・・・
岡山市立市民病院 看護師 青江 衣莉
監修:岡山市立市民病院 歯科衛生士 中山 良子

 

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