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第322回 注射の抗リウマチ薬の管理方法

はじめに

ようやく夏も盛りを過ぎて、ますますお元気にお暮らしのことと存じます。今回は「注射の抗リウマチ薬の管理方法」というテーマについてです。

関節リウマチの治療薬の中には、自宅で注射の治療(自己注射)ができるものがあります。おくすりごとに保管方法・投与方法・廃棄方法が決められているため、誤った方法でお薬を破損してしまわないよう、しっかりと使い方を確認しておきましょう。

 

注射の治療をはじめるために

関節リウマチの治療薬には、炎症による関節の腫れや痛みを和らげる薬と、免疫の異常を正して症状の進行を防ぐための薬があります。治療目標の達成に向けて、いろいろな作用を持つ薬を組み合わせた治療が行われます。 その中でも生物学的製剤とよばれる薬は、点滴あるいは皮下注射で投与する必要があります。

病院に行って注射をしてもらうか、自己注射するかを主治医の先生と相談して選択することができます。
自宅で適切に投与するためには、自己注射製剤の使い方を知っておく必要があります。治療をはじめるときに病院でもらった資料(使用方法が書かれたパンフレット、治療日誌等)は捨ててしまわないように注意しましょう。

主な関節リウマチ治療薬
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs) 炎症をおさえ、関節の腫れや痛みを和らげます。
副腎皮質ホルモン(ステロイド薬) 炎症、免疫をおさえる作用があります。
抗リウマチ薬(DMARDs) 免疫の異常にはたらき、関節リウマチの進行をおさえます。
生物学的製剤 炎症を引き起こす「サイトカイン」と呼ばれる物質などに作用し、関節破壊の進行をおさえます。
※注射のおくすりです※
その他の薬剤 細胞内にあるJAKという酵素のはたらきをおさえることで、炎症や腫れ・痛みをおさえ、関節破壊の進行をおさえるJAK阻害薬などがあります。

 

冷蔵庫で保管

自己注射製剤は冷蔵庫(2~8℃)で保管しておく必要があります。薬局でお薬をもらったあと、冷たい状態で自宅に持って帰れるように、保冷バッグと凍らせた保冷剤を準備しておきましょう。自宅では冷蔵庫で保管しますが、凍結を避けるため温度が下がりすぎる位置やチルド室には置かないように気をつけましょう。

画像:冷蔵庫

投与日には、注射部の痛み軽減のため、注射する30~60分前に冷蔵庫から出して室温にもどします(※電子レンジなどでお薬を温めないでください※)。室温にもどす間に、使用方法が書かれたパンフレット、治療日誌、消毒綿、廃棄用ケースなどの準備物を忘れないように並べておきましょう。

投与前に準備するもの
□ 自己注射製剤(冷蔵庫から出しておく)
□ 消毒綿
□ 廃棄用ケース
□ パンフレット、治療日誌

 

使い終わったら

使い終わった自己注射製剤は、家庭用のゴミ箱に捨てることができません。使用済のものを廃棄用ケースに入れて保管しておき、調剤してもらった薬局に持っていくか、次回の受診時に持ってきてください(医療廃棄物の処理方法は、それぞれの医療機関の指示に従ってください。当院では、外来27番 採血室で回収をしています)。

画像:ゴミ箱

治療日誌には、注射をした日、注射をした場所、痛みの変化や気になる症状について記録をつけておきましょう。記録をつけておくことで、副作用の早期発見、投与忘れ防止につながります。

次回受診時に持ってくるもの
□ 使用済の自己注射製剤
□ 保冷バッグ
□ 凍らせた保冷剤
□ 治療日誌、お薬手帳

 

日常的に感染症対策を

お薬を使用することで感染症のリスク等が高まるため、感染を疑う症状(発熱、悪寒、咽頭痛)や、貧血を疑う症状(顔色が悪い、疲れやすい、頭痛、動悸、息切れ)がみられた場合には、病院に連絡するようにしましょう。

また過去に感染症にかかったことのある方は、治療をはじめると重篤化するおそれがあるため、あらかじめ対策しておくことも重要です。手洗い・うがい、マスクの着用、人ごみを避ける等の感染対策をいつも以上に心がけましょう。

岡山市立市民病院 薬剤部 菊岡 奈緒

 

参考文献

  • 日本リウマチ学会

 

お話をお伺いしたのは・・・
岡山市立市民病院 薬剤部 菊岡 奈緒

 

市民病院で20年以上にわたり行ってきたリウマチ教室。新型コロナウイルスの影響により、2020年7月よりWeb版・瓦版(院内での資料配布および掲示)と形態を変え、皆様のリウマチ療養にお役立ていただくべく、引き続き情報を発信しております。

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