市民病院では長年、離島検診事業として岡山市の「犬島」へ検診に伺っていることをご存じでしょうか?
犬島は岡山市東部、宝伝の沖約3kmに浮かぶ岡山市唯一の有人島。近代産業遺産でもある銅の精錬所跡を再生した「犬島精錬所美術館」や、犬島の集落で展開される「家プロジェクト」など、アートの島として注目を集めています。(岡山観光WEBより)
離島検診は移動が大変!
~潮風を浴びつつ、いざ出発!
市民病院から公用車(10人乗りハイエース)に乗り込み、走ることおよそ1時間。まず最初に向かうのは「宝伝港」です。ここは犬島に渡るための渡船が定期運航されており、島民の方も、観光目的の方もこの宝伝港から船に乗り、犬島に渡ります。

宝伝港と犬島港を行き来する定期船あけぼの丸

医師も束の間のクルーズを楽しみます
犬島検診では「眼科検診」と「耳鼻科検診」を行っています。
医師2名、看護師2名、視能訓練士1名、事務3名がスタッフとして派遣されます。この限られたスタッフで検診機器、紙カルテを手に抱え、船で島に渡ります。今回は眼科研修の一環で研修医の江幡先生も同行されました。
現在は年1回の検診ですが、長年ご対応頂いている眼科・坂口先生によれば、以前は年2回の検診だったこともあるそうです。

検診会場まで総出で荷物を抱えて移動します
一斉開始で、てんてこまい!
検診が始まると一斉に島民の方がいらっしゃるので現場は大混乱!
受付対応、紙カルテの検索、2号用紙の補充(紙カルテ2号用紙を知らない職員も増えたのでは?)、問診票の記入と回収、それぞれの診療科に分かれての各種検査、医師の診察etc・・・そんな検診も1~2時間で終了となります。
平和な日常を紡ぐお手伝い
この事業は岡山市からの委託事業として取り組んでいます。ご近所に医療機関のない環境で暮らす方々の健康を見つめる離島検診事業。当院もその一助となっていることを、市民のみなさんにも是非知って頂ければと思います!

医療資源が少ない地域に医療をお届けすることも市民病院の役割です
<スタッフのこぼれ話>自然とアートの融合~犬島の魅力散策はいかが?
犬島の人口は、最盛期だった昭和10年には1500人を超えたそうですが、今は30人程度とのこと。
島民数は年々減少しているものの、近年は「アートの島」として知られ、瀬戸内国際芸術祭の参加(会場)など、観光業に力を入れています。
地元企業が協力していることもあり、その関係のご家庭が転居されて来られ、近年では小さなお子さんを持つご家庭もあるのだそうです。島民の方にお話を伺うと、保育園を利用するために毎日船で登園されておられるのだとか…。ご苦労はあるようですが、島に子供の声が響くのをとてもうれしそうに話してくれました。

島内に点在する現代アート