リウマチ教育入院 3つのポイント
当院では関節リウマチの治療や療養に不安をお持ちの方に2泊3日の教育入院を受けていただいています。
リウマチ治療には基礎療法、薬物療法、リハビリテーション療法、手術療法が大切となり、十分な治療効果を発揮するためにどれも欠かせません。
リウマチは治療だけではなく、日常生活の過ごし方や注意点なども患者さん自身に理解してもらうことが大切です。
関節リウマチの診断を受け、不安な思いを抱えている患者さんに、内科医、整形外科医、看護師、理学療法士、作業療法士、歯科衛生士、薬剤師、臨床検査技師、管理栄養士、医療ソーシャルワーカーなどがチームで患者さんに指導や講義を行います。
教育入院の内容
各部門の担当者からの講義を3日間かけて説明します。
●内科医
関節リウマチの病態や合併症について
●整形外科医
関節リウマチの患者さんが受けている手術について
●看護師
日常生活で注意する点について
●理学療法士・作業療法士
自分でできるトレーニングや関節の保護について
●歯科衛生士
関節リウマチと口腔衛生について
●薬剤師
リウマチの薬物療法、作用や副作用について
●臨床検査技師
血液検査の見方について
●管理栄養士
治療食を提供する方のみ対象ですが、食事療法について
●医療ソーシャルワーカー
社会保障制度について
自宅へ帰ってからも確認ができるよう講義資料をお渡しします。当院で作成しているリウマチ治療の手引きやパンフレットを差し上げています。
なかなか周りに相談できる相手がおらず一人で悩んでいたり、漠然とした不安を抱えている患者さんも多くおられます。教育入院を受けることで、病気とうまく付き合っていくきっかけを見つけていただけるのではないかと思います。
日常生活の注意点
今回は教育入院で看護師が行っている日常生活の注意点をお伝えします。
ポイントは ①感染予防 ②ストレスを溜めない ③フットケア の3点です。
1.感染予防
リウマチ治療の副作用からも感染症を起こしやすい状態です。そこで重要なのが感染症予防です。
- 外出の際はマスクを使用し、帰ったら手洗いうがいをする
- 歯周病予防のため食後には歯磨きを行い、水分摂取をし、口の中の乾燥を避ける
- 定期的に歯科を受診する
- 毎シーズンインフルエンザの予防接種を受ける
- 5年に1回程度、肺炎球菌ワクチン接種を受ける
- 50歳以上を対象とした帯状疱疹ワクチンも医師と相談した上で接種の可否を判断する
2.ストレスを溜めない
ストレスや不安が大きくなり、気分が落ち込んだりすると関節の痛みなどの症状がさらに増すという悪循環に陥ってしまいます。
- 関節リウマチという自分の病気を理解する
- 分からないことや困ったことを相談する
- 相談できる人を見つける
- 趣味や楽しみを見つける(病状が落ち着いていれば、旅行や温泉なども問題ありません)
- 自分へのご褒美をつくる
ストレスを溜めないということは簡単にみえて、なかなか自分なりの方法を見つけられない方も多いかと思います。教育入院では、新しい発見や相談の場としてお手伝いできたらと思っています。
3.フットケア
関節炎に伴う痛みや関節の変形によって、靴が足の形に合わず、思わぬ傷をつくってしまうことがあります。①感染予防でもお伝えしましたが、薬の影響によって傷が治りにくかったり、傷からバイ菌が入り感染しやすくなっています。また、その傷によって痛みが強くなり、歩きにくくなるなど日常生活への影響も大きいです。
特に、足は自分の目線から一番遠くにあり、自分ではなかなか目が届きにくい部分です。だからこそ、日頃から足の観察も意識して行うようにしましょう。
当院では年に1回、対面式のリウマチ教室を開催予定です。同じ疾患の患者さん同士の交流や悩みを話し合える機会にできればと思っています。
今年度は12月19日に開催予定ですので、皆さんぜひご参加ください。
岡山市立市民病院 看護師 直原 ひかる
お話をお伺いしたのは・・・
岡山市立市民病院 看護師 直原 ひかる
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※役職は掲載時のものです。変更になっている場合がありますがご了承ください
市民病院で20年以上にわたり行ってきたリウマチ教室。新型コロナウイルスの影響により、2020年7月よりWeb版・瓦版(院内での資料配布および掲示)と形態を変え、皆様のリウマチ療養にお役立ていただくべく、引き続き情報を発信しております。
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