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結核について

スペシャリストに聞いてみよう!(診療科のチカラ)
(更新日:2017/7/11)

きりりと引き締まった表情をした呼吸器内科部長:堀内 武志の写真

呼吸器内科部長:堀内 武志

ポイント

2週間をこえる咳や痰があったら、結核を疑い、医療機関を受診することをお勧めします。

結核について教えていただけるとのことで、よろしくお願いします。

結核は過去の病気と思われている方が多いと思います。しかし、世界の先進国のほとんどが結核の低まん延国であるのに対して、日本は中まん延国で、まだまだ多い状態です。
明治時代から戦後にかけて、結核は国民病でした。1年間に10万人以上の方が亡くなられ、日本人の死亡原因の1位を長い間占めていました。現在は結核で亡くなられる方は非常に減りましたが、それでも1年間に約2000人おられ、1日に5人の人が結核で亡くなられていることになります。日本人の死亡原因では29位です。

結核の患者さんは何人くらいいるのでしょうか?

結核に感染している人は世界で20億人以上、日本国内では、2000万人以上が結核に感染していると言われています。結核に感染しているからといって、必ず発病しているわけではありません。日本では、2000万人以上の人が結核に感染しているとされますが、一生のうちに発病するのはその約1割です。そのため、日本で1年間に結核として新しく登録される結核患者さんの数は1万8000人余りで、1日に50人の結核患者が発生しているということになります。日本人の人口10万人あたりでは14.4人になります。結核の低まん延国の基準は10人未満なので、日本はまだまだ多い国です。
ちなみに、岡山県では新規患者は235人で、人口10万人あたり12.2人でした。全国平均よりは少ないですが、まだ“中まん延状態”です。

結核はどのように感染するのですか?

結核菌は人の体内でないと生き残れない菌です。結核は、ヒトからヒトに感染します。感染の方法は空気感染です。痰に結核菌がいる患者さんが咳をした時に、空中に結核菌が飛び散り、空気中に漂っている結核菌を、周りの人が直接吸い込むことで感染します。感染は、抵抗力が落ちた人だけでなく、健康な人でも起こります。
結核に感染しても、免疫力が結核菌に勝ったなら、結核は発病せず結核菌は体の中で冬眠状態になります。そのまま一生発病しない人が9割ですが、1割の人は免疫力が低下したときなどに発病します。

どのような人が結核を発病しやすいでしょうか?

過去に結核に感染したことがある人や、痰に結核菌がいる結核の患者さんと接触した人がまず挙げられます。次に、糖尿病やじん肺症、人工透析、ステロイド剤や免疫抑制剤を使用している人、アルコール中毒、胃を手術で摘出した人、抗癌剤を使用している人などが特に注意です。

どのような時に感染を疑うのでしょうか?

抗結核薬による治療法が進歩し、ほとんどの場合が治癒可能となりました。ただし、進行して見つかった場合や、基礎疾患が悪い状態の方の場合は治療が大変なことがあります。亡くなられることもあります。結核の治療期間は最低でも6ヶ月以上必要で、3〜4種類の薬を併用します。抗結核薬の副作用もあるため、治療は入院で開始されることが多いです。

結核は治る病気なのでしょうか?治療方法についても教えてください。

多くの結核は、肺に炎症を起こす肺結核です。肺結核の代表的症状は咳です。咳が2週間以上続くときは注意です。他に、痰、血痰などの呼吸器症状、発熱、倦怠感、寝汗、体重減少といった全身症状があるときは注意で、医療機関を受診することをおすすめします。
医師は、結核と診断したらすぐに保健所に届け出なければなりません。痰から結核菌が排出されている患者さんの場合は他の人に感染させる可能性があるため、感染症法という法律で入院を勧告され、結核病床がある病院に隔離入院が必要になります。

結核の蔓延を減らし撲滅していくために必要なことはどんなことでしょうか?

結核は空気をとおして感染する病気です。そのため、感染源となる活動性結核患者の早期発見と治療がまず必要です。次に、結核に感染していてもまだ発病していない潜在性結核感染症の状態の患者を発見し、治療することも必要です。潜在性結核感染症は、結核菌を排菌している人に接触した場合や、免疫状態が低下している人などに起こります。潜在性結核感染症の治療は、結核発症前の感染性がない時期に行うので、結核の根絶を目指すための重要な戦略です。